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AI社会の影で消される声:ドキュメンタリー『AIが消し去る声』が国際アート賞を受賞

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報道発表
プレスリリースより

AIの進化が加速する現代社会で、見過ごされがちな問題に光を当てたドキュメンタリー作品が国際的な評価を受けた。現代美術家の窪田望監督による『AIが消し去る声』が、タイ・バンコクで開催されたCENRETA ART AWARD2025で最優秀賞を獲得したのだ。

この作品は、AI社会の裏側に潜む分類の暴力性や不可視化された存在を浮き彫りにする。特に注目したのは、AIの学習データから排除されがちな「5本指にならない」人々の存在だ。窪田監督は、生まれつき5本指ではない裂手症の当事者やその家族、医療従事者にインタビューを行い、彼らの声をドキュメンタリーとして記録した。

『AIが消し去る声』は、この受賞以外にも複数の国際映画祭で高い評価を受けている。ニューヨークのICP Entertainment Film Festival2025では「BEST HUMANITY FILM」を受賞し、ロサンゼルスのThe Atlantis Awards 2025では「最優秀ドキュメンタリー短編映画賞」にノミネートされた。

窪田監督は、AI技術の研究者でもあり、20もの特許を持つ。その経験から、AIの開発過程で「外れ値」として排除されるデータの中に、実は重要な社会的価値が隠れていることに気づいたという。「社会的マイノリティーの生活は無視されて良いはずはない」という信念のもと、作品を通じてその実態に迫った。

CENRETA ART AWARD2025は、日本とタイのアート関係者の国際交流を目的としたアワードだ。今回は両国から400点を超える応募があり、その中から選ばれた47点がファイナリストとして展示された。窪田監督の作品が、その中で最高の評価を得たことは、AI社会における倫理的問題への関心の高まりを示している。

窪田監督は受賞に際し、「AIの時代に排斥されているマイノリティの存在が国際的に評価いただいたことは心より光栄です。これをきっかけに学際的な交流が進めば嬉しい」とコメントしている。

今後、窪田監督は2025年10月から開催される東京ビエンナーレにも参加予定だ。そこでは『認知症』をテーマに、AI社会における認識を問う新作の展示を計画している。AIと人間社会の関係性を問い直す窪田監督の作品に、今後も注目が集まりそうだ。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000038825.html