せきしろの自由律俳句 第107回「薬」結果発表


結果発表
第107回 課題: 薬
せきしろの一句
一番の薬だと母の声がする
最優秀賞
処方箋の原本がいるらしい雪でも
( 東京都 遠藤玲奈 42歳)
自由律俳句は律(リズム)を自分で作り、整えていくものであり、それがまた楽しい過程でもある。この句はそれを体現している。「処方箋の原本がいるらしい」で終わる句を作る人は多々いるだろうが、最後に「雪でも」が加わり、作者の心情と風景がより強く伝わってくる。
優秀賞
食後に薬飲むと告げる
( 神奈川県 へやぼし 36歳)
私は薬を飲むことを忘れがちであるから、この句のように誰かに予め告げておく。するとその人が教えてくれて飲み忘れを防ぐことができる。ひとりの時は自分に言い聞かせるように口に出す。その姿は見られたくはないが、そういう人をもしも見かけたらそれは私だ。
割った錠剤の角が鋭利だ
( 神奈川県 杏駄木さや 43歳)
小さい錠剤をさらに小さくして、その小さな断面の鋭利さを見る。視点がグッと錠剤に近づいていくところ、そして多くの人が気にもしない視点が心地よい。鋭利な形の薬に優しさは感じないが、どこか効く気もする。
イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト