Robloxで農業体験を発信、高校生が企画開発した体験ゲーム公開


農業の担い手不足、その根本にある課題
日本の農業は構造的な転換期を迎えている。農林水産省の調査によれば、基幹的農業従事者の平均年齢は67.6歳となり、1995年以降で初めての低下となった。一方で基幹的農業従事者数は102万人となり、2020年比で約34万人減少している。平均年齢の低下は一見すると農業の若返りが進んでいるようにも見えるが、その背景には高齢農家の大量離農という構造変化があり、単純に「若い農家が増えた」とは言い切れない複合的な現実がある。
これまでの農業政策や地域の取り組みは「いかに新規就農者を増やすか」に重点が置かれてきた。しかし担い手不足の根本には、そのさらに手前の課題がある。それは、若年層が農業に触れる機会そのものが少なくなっていることだ。農業に触れる機会がなければ関心は生まれず、関心がなければ就農という選択肢は視野に入らない。だからこそ必要なのは、就農の前段階として、若い世代に「農業に触れ、面白さを感じ、関わってみたくなるきっかけ」を届ける仕組みである。
メタバースゲームで広げる農業の関わり方
農業×新技術を推進する農家支援コミュニティMetagri研究所(運営:株式会社農情人、本社:千葉県船橋市、代表取締役:甲斐雄一郎)は、農業の関わり方を「就農」に限らず広げるというアプローチを採っている。農業に関わる方法は、必ずしも耕すことや出荷することだけではない。農業の魅力を伝える人、農業体験を設計する人、農業コンテンツを制作する人、農業とテクノロジーの接点をつくる人など、多様な関わり方がある。こうした「農業の関係人口」の裾野を広げることが、結果として担い手不足の構造的な解決につながるのだ。
その実践の場として位置づけているのが、次世代向けのインターンプログラムである。Metagri研究所では、高校生・大学生を対象に、農業AIメディアの取材・記事制作、自治体連携のAI動画コンテスト企画運営、Roblox上での農業体験ゲーム開発など、複数のプロジェクト型インターンを展開している。
高校生が企画開発した農業体験ゲーム『Get the Metavege!』
農業の担い手不足に対する新たなアプローチとして、高校生インターンが主導する「メタバース農業体験プロジェクト」が始動した。第一弾として、現役高校生が企画から開発まで主導した協力型農業体験ゲーム『Get the Metavege!』がRoblox上で一般公開されている。
本ゲームを企画・開発したのは、Metagri研究所でインターンとして活動する現役高校生(N高・さえりさん)である。農業への関心をきっかけにMetagri研究所のインターンに参加したさえりさんは、「自分と同じ世代に農業の面白さを届けたい」という思いから、Roblox上での農業体験ゲーム開発を自ら提案した。約4か月にわたる開発期間の中で、さえりさんはゲームコンセプトの立案から、ゲームループの設計、空間デザイン、キャラクター制作、機能実装、体験会での検証、改善まで、一連の工程を主体的に進めた。
本ゲームではプレイヤー同士が協力して農園を育て、ミニゲームや収穫を通じて農業の楽しさに触れられる設計となっている。さらに、AI 3Dモデリングツールを活用したMetagri研究所のオリジナルキャラクター「メタグリくん」の制作・実装も行い、農業とデジタル表現を掛け合わせた世界観づくりにも挑戦した。農業の実務経験がない高校生が農業に関心を持ち、同世代に農業の面白さを届けるためのゲームを企画し、制作して世界に向けて公開するところまでたどり着いたのである。
農業の関わり方の新しい視点
今回のプロジェクトは、農業の担い手問題に対する問いの立て方そのものを広げる試みである。これまでの問いが「誰が農業をやるのか」だったとすれば、これからは「誰が農業を伝え、届け、関わりシロをつくるのか」という視点も重要になる。多様な参加のあり方があることを、今回のプロジェクトは一人の高校生の実践を通じて示している。Metagri研究所は今後も、高校生・大学生インターンが農業の「伝え手」「届け手」「つくり手」として活躍できる、プロジェクト型の取り組みを推進していく。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000185.000087046.html