田中希実の初著書『希わくばの詩』イベント開催、トークで語った執筆の想い


田中希実の初著書『希わくばの詩』とは
世界文化社は、日本陸上界を牽引するトップアスリート田中希実選手による初めての著書『希(ねが)わくばの詩(うた)』の発売を記念し、2026年3月26日にジュンク堂書店池袋本店でトーク&書籍お渡し会を開催した。本書は2025年1月の全国女子駅伝から9月の東京世界陸上までの253日間、自身の内面と対峙し続けたありのままの姿を記した手記である。苦悩や希望、そしてアスリートという枠を超えた普遍的なメッセージが綴られており、類い希な表現力を持つ田中選手が「魂の叫び」を強い覚悟を持って世に送り出す作品となっている。
執筆のきっかけ:日常の思考を記録に
イベントで田中選手は執筆の経緯について、世界陸上までのレース期間中にスマホのメモ機能に日記のようにして思考を記していたことが発端だと述べた。気付いた時には本1冊分くらいになっていたという。昨年5月に出版のお話をいただいたものの当時は余裕がなく、改めて10月にお話をいただき、世界陸上終了後に「この機を逃したら、自分の色々と考えたこともなかったことになっちゃうんじゃないかな」と感じ、出版を決断したとのこと。「自分の文章が世間に出ていくというのは、また一つ世間とつながる部分でもあり、世間とつながりを持ちたいという気持ちが元々大きかった」と語った。
「書く」という作業が競技と同じ意味を持つ
参加者からの質問で、気持ちの切り替え方と「書く」ことの意味について問われた田中選手は、小学校3年生から毎日日記をつけてきたと明かした。「『走る』ことと同じくらい、もしかしたら走ることよりもっと早くに、自分から意識的に始めた作業が『書く』ことだった」と述べ、書くことで考えがまとまったり、自分でも気付いていなかった自分に気付いたりすることが多いという。日々の競技生活における気持ちの切り替えと自己理解のために、書くという作業を重視していることが伝わってくる。
苦しみながらも前に進み続ける理由
本の中で苦しむ場面が多く描かれていることについて、参加者から「どうして前に向かって進み続けられるのか」との質問が上がった。田中選手は「『自分が自分であることをやめたくない』という気持ちが一番大きい」と答えた。他者や世間とのつながりは大切だが、「自分を失ってはいけない」という信念があるという。最近はモチベーションを保つことが難しく、「レース前にして負けることが分かってしまっている」という状態が続いているとも述べた。しかし、本の中で描かれた逃避的な思考や気持ちの面での「戦い抜き」を考えることで、「また次が見えてくるかなと。目の前のことを考えると憂鬱になりますが、それでも、その先に希望を見出したいから向かっていくしかない」と前向きに語った。
装画家・橘春香による「野生の息吹の女神」の表現
イベントでは、装画を手がけた橘春香さんから田中選手への装画原画のプレゼントサプライズが行われた。橘さんは田中選手を「野生の息吹の女神」と表現し、初めて見た時に「人間を超えている神様と、野生的なエネルギーの両方を持っている」と感じたという。著書を拝読して「のんちゃんが走ること自体が、あらゆる命への讃歌」と感じたと述べた。田中選手は「自分の文章は抽象的だったり、自分でもよく分からないまま書いたりしている部分があるが、それを絵という形で伝えてくださって、改めてこういう風に走ろうと思った」とコメントした。
書籍概要と発売情報
『希(ねが)わくばの詩(うた)』は2026年3月26日に発売予定。著者は田中希実、定価は1,870円(税込)で、四六判224ページ。発行は株式会社世界文化社。本書は走りながら書き散らかしてきた軌跡をまとめたもので、リアルタイムで書かれた取り留めのない言葉の前後に、エッセイ様式の文で背景や心情を補足しているという構成となっている。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002312.000009728.html