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シリアの文化を3Dで守る。東大とPiece of Syriaが戦争で失われる記憶をアーカイブ

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ノンフィクション
報道発表
人々が行き交う首都ダマスカス(2025年4月中野撮影)(プレスリリースより)

戦争が奪う文化、3Dで未来へ残す取り組み

戦争は街を壊すだけでなく、人々の文化や記憶、社会のつながりを分断する。シリアでは長引く紛争の中で、歴史的建造物や街並みが破壊されてきた。さらに、難民・避難民として故郷を離れた人々が増えたことで、伝統文化や生活の記憶そのものが失われつつある。こうした状況に対し、東京大学大学院・渡邉英徳研究室とNPO法人Piece of Syriaは、3Dデータを活用した「シリア・アーカイブ」プロジェクトを進めている。

多様な協力者と共に、シリアの文化を3Dデータで記録

本プロジェクトでは、シリアの街並みや建築物、暮らしなどを、動画から3Dデータに変換し、記録・保存していく。元となる素材は、Piece of Syria代表の中野が撮影した映像に加え、当団体の現地ネットワークを活用し、シリア人の考古学者、観光ガイド、アーティスト、映像作家、NGO関係者など、多様な協力者から提供を受ける。渡邉英徳研究室は広島・長崎、東日本大震災、ガザ地区などで戦争や災害の記憶をデジタル空間に記録した実績を持つ。これらの素材をもとに、シリアの文化遺産や日常を3Dアーカイブ化していくという。

文化を守ることが平和へのメッセージになる理由

文化のアーカイブを行うことには大きく三つの意義があると考えられている。第一に、戦争では人々の心を挫くために文化遺産が意図的に破壊されることがあり、文化を守ること自体が平和へのメッセージになるという点だ。第二に、国民の半数以上が避難生活を余儀なくされ、後継者不足や伝統行事・音楽・母国語に触れる機会の喪失によって、文化の断絶が進みつつあることである。第三に、シリアを知らずに育つ子どもたちが増える中、自国に根付いてきた文化や伝統を知ることが、将来の復興を支える精神的な土台になるということだ。この取り組みは、戦争や難民というイメージで遠く感じられがちな中東地域を、豊かな文化と日常を持つ社会として捉え直す機会となる。

分断を乗り越えるプロジェクトへの思い

Piece of Syria代表の中野は、「シリアからトルコに逃れたシリア人の子どもたちに、母国語・母国文化を学ぶ補習校を運営してきた。トルコ生まれのシリア人は70万人以上と言われ、母国を知らない子どもたちも多く、親世代はそのことを危惧していた。長期に渡る内戦で生まれた分断は、支援活動を妨げるほど根深いものになっている。だからこそ、分断を超えて共通する価値観となる歴史的な文化を軸に、対話と協働を生み出していく可能性を信じて取り組んでいる」とコメントしている。

4月26日、シリア文化を体験するイベントを開催

本プロジェクトに関連し、「シリア3Dアーカイブ」も用いたワークショップと、東京文化財研究所・安倍雅史氏と、シリア中東の歴史・文化・政治の専門家・黒木英充氏によるシリア文化の解説、参加者同士の対話の機会が設けられる。イベントは2026年4月26日(日)14時から17時まで、JICA東京(幡ヶ谷駅から徒歩約8分)で開催される。参加費は無料であり、詳細・申込は公式サイトから行える。渡邉教授もご登壇し、シリア3Dアーカイブについて解説を予定している。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000090.000095779.html