公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

感想文で「あなたらしさ」を表現する技術 Part1|受賞するための読書感想文5大メソッド

タグ
感想文
特集
読書感想文5大メソッド

「感動しました」「涙が出ました」「心に響きました」。あなたもこんな言葉で感想文を書いたことはないでしょうか。
コンクールには毎年、膨大な数の感想文が集まります。その多くに、この言葉が並んでいます。書き手はみんな、一生懸命に書いている。うまくまとめようとして、きれいな言葉を選んでいる。しかし、これでは読む人の心はなかなか動きません。
最後まで記憶に残るのはやはり「あなたにしか書けない」文章です。
この記事では、その意味と書き方をお伝えします。

「おいしい」ではなく「肉汁があふれる」

目の前にとてもおいしそうなステーキがあります。実際に食べてみても、とってもおいしい。
さて、このおいしさを他の人に伝えるとき、「おいしい」ではたして伝わるでしょうか?

 

  • 「噛むたびに肉汁があふれてきます」
  • 「赤身と脂のバランスが絶妙で、噛むたびに味が変わります」
  • 「最初は香ばしさ、次に甘み、最後にじんわりとした旨みが広がります」

 

どれも同じ体験を伝えようとしていますが、伝え方によって、読んだ人の頭の中に浮かぶものはまったく違います。でも「おいしい」だけでは何も思い浮かびません。
人は、具体的なイメージを伴う言葉にしか本当の意味では反応しないのです。

感想文も、まったく同じ構造をしています。
読み手が知りたいのは、「何に、なぜ、どう感動したか」です。どの場面で、どんな気持ちになったのか。その具体的な景色が見えてはじめて、読み手の感情は動きます。
次の2つの文章を比べてみてください。

「カムパネルラの友情に感動しました。ジョバンニのことを本当に大切に思っていたのだと思います」

「カムパネルラが『ぼくのお母さんは、ぼくをゆるして下さるだろうか』とつぶやく場面で、手が止まった。何かを犠牲にして誰かを助けることを、カムパネルラはもう決めていたんだと気づいて、胸が締め付けられる思いだった」

前者は、どこにでもある文章です。後者が優れているのは、最後の「胸が締め付けられる」という言葉だけが理由ではありません。

注目してほしいのは、その手前にある「何かを犠牲にして誰かを助けることを、カムパネルラはもう決めていたんだと気づいて」という一文です。
これは、この読者がこの場面でたどり着いた解釈であり、思考の軌跡です。同じセリフを読んでも、「カムパネルラが悲しそうだった」と読む人もいれば、「すでに覚悟していた」と読む人もいる。そのどちらが正しいかではなく、この人がこう読んだという事実が、文章を唯一無二にしています
審査員の心が動くのは「胸が締め付けられる」という言葉ではなく、その言葉が生まれるまでの考える過程が見えるからです。感情の名前より、感情が生まれた理由の方が、読み手に届きます。

うまい文章を書きたいという意識を捨てよう

「うまく書こうとしなければいい」。そう言うと、こんな疑問が浮かぶかもしれません。「でも、ちゃんとした言葉を使った方がいいんじゃないの?」
試しに、こんな2つの文章を声に出して読んでみてください。

 

A:「深遠な問いを投げかけられた気がした」
B:「読み終わってからも、カムパネルラのことが頭から離れなかった」

 

Aの方が「よくできた文章」に見えます。でも、読み手に何かを伝えているのはどちらでしょうか。
Aには「深遠な問い」という言葉がありますが、読み手には何の問いかがわかりません。Bには「読み終わってからも頭から離れなかった」という事実があります。それだけで、この本がその人にとってどれほどの体験だったかが伝わる。
「深遠な」という言葉を、自分が日常会話で使ったことはあるでしょうか。おそらくないはずです。それでも感想文になると、こうした言葉を使いたくなる。「うまく見せたい」という気持ちが、本来書けるはずの具体的な言葉を追い出してしまうのです。

借り物の言葉を使うと、文章は以下のようになってしまいがちです。

「この作品は、人間の本質を突いた深遠なテーマを描いており、読者に多くの示唆を与えてくれます」

これを読んで何かが伝わったでしょうか。この文章からは、書いた人がどこで何を感じたかが一切わかりません。こうした文章が続く中で、「この子が本当にそう感じた」文章は、一文読めばすぐわかります。
あるコンクール関係者はこう語っています。
「最終審査に残る応募作は、どれもよく整った文章で、スキがないものばかりです。しかしその中で光るのは、この子にしか書けない、読み手の心に響く言葉をもったものです」。
文章のうまさとあなたらしさは、まったく別のものです。うまい文章は整っているが、印象としては何も残りません。あなたらしい文章は、多少ぎこちなくても、書いた人が何をどう感じたかが見える。読み手の心が動くのは、後者です。