星新一賞で3作がAI活用! メイン:激変する文学賞のAI規定と主要32賞のスタンスまとめ│規定あり18賞【前編】
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2026年3月、文学賞に応募する人たちにとって衝撃のニュースが流れました。
日経「星新一賞」一般部門の今年の受賞4作品中、なんと3作品がAIを活用していたというのです。最終選考に残った10作品のうち半分がAIとの共作。審査員すら「読んでもAIか見分けがつかない」と認めるレベルだったといいます。
ChatGPTの登場から3年。AI執筆と文学賞の関係は、いま急速に変わりつつあります。賞によっても、全部AIで書いてOKとするものもあれば、使ったらアウトと全面禁止するものもあります。
あなたが応募しようと思っている賞は、AIでの応募をどう扱っているのでしょうか?
今回、主要な文学賞32賞をまるごと調査して、AIに対するスタンス別にまとめてみました。
本記事では、明確な規定のあった18賞についてタイプ別に見ていきます。
※本記事では各賞について第何回時点の応募要項を基にしたかを記載しています。内容は今後更新される可能性があるため、応募の際は詳細を必ず主催者公式サイトでご確認ください。
AIとの共作を歓迎する
【タイプ1】AI執筆OK!条件付きで認める稀有な1賞
星新一賞(日本経済新聞社)
※第13回(2025年10月7日締切)応募要項時点
文学賞では類を見ない、もっとも先進的なAIスタンスを打ち出しているのが星新一賞です。要項には「人工知能など人間以外からの応募も可能」と明記され、AIを活用した作品でも審査に影響することはないことを公言しています。
ただし、条件は厳格で、使用した生成AI・プロンプト・参照データの記録を残し、500文字以内で利用方法を説明することが求められます。生成された文章をそのまま使うことは認められず、人間による加筆修正が必須。さらに他者の著作物や作家名を入力プロンプトに含めることも禁止されています。
ショートショートの神様・星新一の生誕100年を見据え始まった本賞。第3回時点(2015年)にはすでにAIによる小説の応募があり、1次審査を通過した作品もあったという、人間以外の応募と長く向き合ってきた賞です。
日本経済新聞の取材のなかで、審査員のひとりであるSF作家・鏡明氏は、本賞のスタンスについて次のように語っています。
アイデアはある、モチーフもある、しかし手が追いつかない。こういう人はたくさんいる。生成AIを使うことで思いを小説にできる人が増える
星新一賞、AI作品が上位独占 文学とは何かを問う
日本経済新聞 電子版
2026年3月8日
実際、今年の優秀賞受賞者・志縞円(しじまえん)氏も、同記事のなかで自身の体験をこう振り返っています。
AIがなければ小説を書こうと思わなかった。創作の面白さを知った。今度はAIの力を借りずに書いてみたい
星新一賞、AI作品が上位独占 文学とは何かを問う
日本経済新聞 電子版
2026年3月8日
AIで創作するということは、楽をしたり誰かを真似たりすることではありません。これまで「書きたいけれど書けない」と感じていた人にも、自分の想いをもっと気軽に物語にできる。星新一賞が指し示しているのは、創作の入り口がぐっと広がる、そんな可能性なのかもしれません。
なお、AIの活用が広がる一方で、業界の構造を見直す動きも始まっています。今回応募されたAI小説は491作品と前回の5倍超に達しました。日経新聞の報道では、事務局内の議論についてこう伝えられています。
AI小説が応募作の多数派となる未来を見据え、AIを使わずに人間の手で執筆された小説を「人力小説部門」として切り分ける可能性も事務局内で議論された。応募作がAIを使わずに書かれたことを証明する手段がないため、実現は見送ったものの……今後のあり方を巡って、星新一賞は転機を迎えている
AI小説、星新一賞を席巻 人間と区別つかず「人力小説部門」も議論-氾濫するAI小説(上)
日本経済新聞 電子版
2026年4月16日
「証明する手段がない」という現実的な課題から実現は見送られたものの、AI執筆と人力執筆を別カテゴリで評価する流れが、今後業界全体に広がるのか注目されるところです。
申告制または確認制で活用可能
【タイプ2】補助利用OK12賞
最も多かったのが、補助的なAI利用を申告つきで認めるタイプです。プロット出し、表現の整え、誤字脱字チェック、アイデア出しなど「人間が書くのを手伝う」レベルでの利用を認め、その代わりに使用内容を明記することを求めます。
本文丸ごとの生成はNGというのが共通の線引きとなっています。
ただし、各賞で「どこまでOKか」「どこに書くか」がかなり異なります。
先に一覧で見ておきましょう。
※下記は各賞の応募要項からの引用です。各賞で特に注目したい箇所を太字で示しました。
補助利用OK 12賞の許可範囲早見表
| 賞 | AI使用に関する要項の文言(引用) |
|---|---|
| このミステリーがすごい!大賞 | 生成AIを補助的に利用した場合、どのように用いたかを書類末尾に簡潔に記載してください。AI生成による文章を用いた原稿の応募は不可とします。使用に伴い、第三者の権利を侵害するおそれがあると事務局が判断した場合、選考対象外・失格とする可能性があります。 |
| 江戸川乱歩賞 | AI使用について……創作に際しAIを補助的に利用した作品(プロット作成や文章表現の支援など)については、応募原稿の冒頭にどのようにAIを用いたかについて記載してください。また、使用に伴い第三者の権利を侵害しかねない作品と判断された場合には選考対象外・受賞取り消しとなる場合があります。 |
| 松本清張賞 | 創作の際、AIを利用した場合は、どのようにAIを用いたか(文章表現の手助け、校正、翻訳など)を応募原稿の表紙に分かるように記載してください。また利用に伴って、明らかに倫理や法令に反する、あるいは第三者の権利を侵害する恐れがあると判断された場合は、選考対象外や受賞取り消しとなる場合があります。 |
| 横溝正史ミステリ&ホラー大賞 | 応募原稿の執筆にあたって、プロット作成や表現チェックのため生成AIを補助的に利用することを不可とはしません。使用する場合は、どのように使用したかを原稿の本文末に明記してください。ただし、生成AIを使用した結果、第三者の著作権や、その他の権利を侵害するおそれがあると判断されたときは、選考の対象外とする場合があります。 |
| 小説現代長編新人賞 | 創作に際しAIを補助的に利用した作品(プロット作成や文章表現の支援など)については、応募原稿の冒頭にどのようにAIを用いたかについて記載してください。また、使用に伴い第三者の権利を侵害しかねない作品と判断された場合には選考対象外・受賞取り消しとなる場合があります。 |
| 小説すばる新人賞 | AIを部分的に使用した場合(プロット作成、文章表現の補助等)は、WEB応募フォームの備考欄に、どのようにAIを使用したか説明を記載してください。 |
| 野性時代新人賞 | 応募原稿の執筆にあたって、プロット作成や表現チェックのため生成AIを補助的に利用することを不可とはしません。使用する場合は、どのように使用したかを原稿の本文末に明記してください。ただし、生成AIを使用した結果、第三者の著作権や、その他の権利を侵害するおそれがあると判断されたときは、選考の対象外とする場合があります |
| 文藝賞 | 生成AIを用いて執筆した場合は、略歴に具体的な使用方法を明記すること |
| 電撃小説大賞 | 【一部抜粋】生成AIの利用は、「誤字脱字のチェック」「表現の整え」「アイデア出し(ブレインストーミング)」など、創作を支援する補助的な範囲に限ります。 作品本文の執筆や構成の主要部分をAIが生成した場合は対象外となります。 ※生成AIの利用に関する規定が設けられており、かなり詳細な内容まで書かれています |
| 青い鳥文庫小説賞 | 生成AIを使用して本文を書くことは、原則として認めません。 ただし、アイデア出し・構成検討・推敲補助など、創作過程の一部に限った補助的利用は許可します。その場合は、応募原稿の冒頭に使用内容を具体的に記載してください。 なお、使用に伴い第三者の権利を侵害しかねない作品と判断された場合には選考対象外とし、受賞後に発覚した場合は受賞を取り消すことがあります。 |
| 群像新人文学賞 | 著作権侵害(例えば、第三者の著作物をコピー、改変するような利用)に該当する生成AIの使用を禁じます。最終候補作品については、AIの使用の有無、使用した場合にはその使用方法について改めて確認させていただきます。 |
| 坊っちゃん文学賞 | ただし、例えばAIなどを用いていたずらに多くの作品を投稿するなど、円滑な審査の支障になるような迷惑行為はご遠慮ください。 |