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星新一賞で3作がAI活用! 激変する文学賞のAI規定と主要32賞のスタンスまとめ│規定あり18賞【後編】

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では、ジャンル別に12賞を見ていきましょう。

ミステリー・ホラー系4賞

このミステリーがすごい!大賞(宝島社)

※第25回(2026年5月31日締切)応募要項時点

エンタメミステリーの登竜門が示した規定は、AI生成による文章を用いた原稿の応募は不可とする一方、補助的に利用した場合は「どのように用いたかを応募書類の末尾に簡潔に記載」することを求めています。シンプルで分かりやすい設計です。

江戸川乱歩賞(日本推理作家協会/講談社)

※第73回(2027年1月31日締切)応募要項時点

老舗中の老舗が打ち出した申告制は具体的です。「AI創作補助ツール使用報告」として、原稿の冒頭にツール名(例:ChatGPT等の生成AI)と目的(プロット出し、文体チェック等)を記載することを求めています。記載例まで丁寧に示されている点に、本格的に運用していこうという意志を感じます。

松本清張賞(日本文学振興会/文藝春秋)

※第33回(2025年10月31日締切)応募要項時点

文藝春秋系列の本格ミステリー賞です。「AIをどのように用いたか(文章表現の手助け、校正、翻訳など)を応募原稿の表紙に分かるように記載」することを求めています。注目すべきは、許容範囲の例として「翻訳」が挙げられている点。海外資料の翻訳や外国語表現の補助といったAI活用も視野に入れた、幅広い使い方を許す規定といえます。

横溝正史ミステリ&ホラー大賞(KADOKAWA)

※第47回(2026年9月30日締切)応募要項時点

「プロット作成や表現チェックのため生成AIを補助的に利用することを不可とはしません」と明示。ただし「第三者の知的財産権が侵害される恐れがある場合は選考対象外」と釘を刺しています。AI活用と著作権リスクを明確に切り分けた、バランスの取れた規定です。

純文学・一般文芸系5賞

小説現代長編新人賞(講談社)

※第21回(2026年7月31日締切)応募要項時点

https://koubo.jp/contest/274564

「補助的に利用した作品(プロット作成や文章表現の支援等)については、応募原稿の冒頭にどのようにAIを用いたかについて記載すること」。冒頭での申告を求めるシンプルな規定です。文芸系の長編新人賞でAI利用を明文化している例はまだ多くないだけに、講談社が早期に方針を示した点にAI進出の勢いを感じます。

小説すばる新人賞(集英社)

※第40回(2027年3月31日締切)応募要項時点

「AIを部分的に使用した場合(プロット作成、文章表現の補助等)は、WEB応募フォームの備考欄に説明を記載」。他賞と違いユニークなのは申告場所が「WEB応募フォームの備考欄」である点です。原稿本体ではなく応募データ管理側に記録する形は、デジタル時代の運用に最適化された設計といえるでしょう。

野性時代新人賞(KADOKAWA)

※第18回(2026年8月28日締切)応募要項時点

横溝正史賞と類似の構文で、KADOKAWAグループの統一スタンスがうかがえます。「使用する場合は、どのように使用したかを原稿の本文末に明記」「第三者の著作権その他の権利を侵害するおそれがあると判断されたときは、選考の対象外」と、利用OKと権利保護の両立を図っています。

文藝賞(河出書房新社)

※第63回(2026年3月31日締切)応募要項時点

12賞のなかでもっとも独特な規定です。「生成AIを用いて執筆した場合は、略歴に具体的な使用方法を明記すること」とだけあります。「執筆した場合」とあり補助的利用の限定が厳密に表記されているわけではありません。事実上、本文執筆へのAI利用も「申告すれば許される」と読めます。文藝賞は若手作家の登竜門としての性格上、AI時代の新しい表現を排除しない姿勢を選んだのかもしれません。

群像新人文学賞(講談社)

※第70回(2026年10月15日/31日締切)応募要項時点

「著作権侵害に該当する生成AIの使用を禁止。最終候補作品については、選考委員会がAI使用の有無と使用方法を確認」。事前申告ではなく、最終候補で確認するという後追い方式が特徴です。どのような補助利用がOKかどうかは明示されておらず、選考委員会が個別に判断する仕組み。文学の核心部分に踏み込む慎重な運用といえます。

ラノベ・地域系3賞

電撃小説大賞(KADOKAWA/電撃文庫)

※第34回(2027年4月10日締切)応募要項時点

業界でも踏み込んだ規定を打ち出した賞です。「生成AIの利用は『誤字脱字のチェック』『表現の整え』『アイデア出し(ブレインストーミング)』など、創作を支援する補助的な範囲に限ります」と明文化。本文の執筆や構成の主要部分は対象外と明確に線を引きました。生成AIの利用に関する規定が設けられており、かなり詳細な内容まで書かれています。申告は本文の最後、またはカクヨム応募の場合は作品説明欄に記載するルールです。

青い鳥文庫小説賞(講談社青い鳥文庫)

※第9回(2026年5月1日〜7月31日)応募要項時点

12賞のなかでは比較的厳しめの規定で、「原則禁止+受賞取り消し条項」まで明文化しています。「生成AIを使用して本文を書くことは、原則として認めません」と原則禁止を明示しつつ、「アイデア出し・構成検討・推敲補助など、創作過程の一部に限った補助的利用」のみ例外として許可。利用時は応募原稿の冒頭に使用内容を具体的に記載する必要があります。

坊っちゃん文学賞(松山市)

※第23回(2026年9月30日締切)応募要項時点

ショートショートを募集する松山市主催の賞です。規定では「AIなどを用いていたずらに多くの作品を投稿するなど、円滑な審査の支障となるような迷惑行為は禁止」とシンプルなもの。個人の創作補助としての利用については明確な禁止はなく、「短文を量産して応募する」AI悪用を主な懸念対象としています。

使ったら即アウトを明示
【タイプ3】全面禁止5賞

最後に、AI執筆を全面的に禁止する5賞です。背景を読み解いていくと、2025年11月に業界を揺るがしたある「事件」が見えてきます。

業界の転換点──アルファポリス規約改定

2025年11月、出版業界で大きく取り上げられた出来事がありました。

アルファポリス「第18回ファンタジー小説大賞」で大賞・読者賞をW受賞した『地味スキル《お片付け》は最強です!~社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?~』が、受賞後にAI生成だったと判明したのです。受賞⾃体は取り消さないものの、書籍化・コミカライズが白紙撤回となりました。

これ以降、WEB小説系の主要賞が相次いで「AI執筆禁止」を打ち出しました。以下に紹介する全面禁止5賞のうち、3賞(HJ・オーバーラップ・一二三書房)はこの騒動の後に規定を整備した賞です。

HJ小説大賞(ホビージャパン)

※第7回前期(2026年6月30日締切)応募要項時点

小説
第7回HJ小説大賞中期『未発表新作』部門
目指せ、作家デビュー!
2026年10月31日(土) 締切
年間最優秀賞(三部門共通):賞金300万円

「生成AIによって執筆された作品は選考の対象外」と明示されている賞。「なろう」「ノベルアップ+」「未発表新作」と3つの投稿プラットフォームで大規模に展開する賞ゆえ、AIによる量産投稿のリスクが高いことが背景にありそうです。

警察小説新人賞(小学館)

※第6回(2027年募集)応募要項時点

「AIの使用は禁止とします」とシンプルかつ強い断定です。注目したいのは禁止対象に「手書き原稿」も含まれている点で、編集現場での扱いやすさを重視しています。背景には警察小説というジャンルの特殊性、実在の警察組織を扱うリアリティ重視のジャンルゆえ、「人間にしか書けない視点」を編集部が重視しているのではないでしょうか。

オーバーラップWEB小説大賞(オーバーラップ)

※第11回(2026年3月9日締切)応募要項時点

「生成AIに執筆させた作品は選考から除外致します」と明言されています。同社の特徴は「随時刊行システム」を採用していることです。受賞判定と書籍化決定がほぼ同時に行われるため、後からAI使用が発覚すれば致命的なダメージとなります。先制的なAI禁止が必須だった構造的事情がうかがえますね。

一二三書房WEB小説大賞(一二三書房)

※第7回(2026年1月23日締切)応募要項時点

5賞のなかでもっとも厳格な規定です。「AIによる執筆」を「第三者の著作権侵害・盗作」と同列に扱い、「商品化にあたり弊社が進行不可能と判断した場合、受賞発表後であっても受賞を取り消す」と明記。AIを著作権リスクと並ぶ問題として位置づけた、法的観点を強く意識した規定といえます。第7回は過去最大10,025作品の応募があり、対策の必要性は高まっていたようです。

集英社みらい文庫大賞(集英社)

※第16回(2026年1月30日締切)応募要項時点

「全部または一部に生成AIを使用していた場合は選考の対象外」と最も広い範囲を禁止対象にしています。一部のプロット段階での利用も認めない最厳格パターンです。集英社グループは2025年10月に「著作権侵害を許さない」という公式声明を発表しており、児童向けレーベルではさらに踏み込んだ姿勢を取った形といえそうです。

【まとめ】18賞のスタンス、その全体像

ここまで、3つのタイプを見てきました。

  • AI執筆OK(条件付き):1賞
  • 補助利用OK(要申告/確認制):12賞
  • 全面禁止:5賞

同じ文学賞でも、AIへの距離感はここまで違うものです。

共通するのは、申告制を採用する賞も全面禁止する賞も、「応募者が透明性をもってAI利用を明らかにすること」を最低限のルールとして要求している点ではないでしょうか。

そして、調査した32賞のうち、明確に規定を示しているのは今回紹介した18賞だけ。残り15賞には、現時点で公式なAI規定が見当たりませんでした。

AI規定が明示されていない賞に応募する場合、どう判断すればよいのか?第二部では、ジャンル別に明言なし15賞をチェックしつつ、応募者が判断するためのヒントを段階的に紹介していきます。

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※掲載している情報は各賞の最新応募要項時点のものです。次回開催時には規定が変更される可能性があるため、応募前に必ず主催者の公式サイトで最新の応募要項をご確認ください。