八木詠美『アンチ・グッドモーニング』が第175回芥川賞に選出


ポジティブ至上主義に対抗する「不眠」アドベンチャー小説
デビュー作『空芯手帳』が世界26か国・地域で翻訳された八木詠美による第3作『アンチ・グッドモーニング』が、第175回芥川龍之介賞の候補作に選出されました。第175回芥川賞・直木賞選考会は2026年7月15日(水)に開催される予定です。
主人公の苦悩を描く職場の管理社会
本作は8か月間の不眠に苦しむ女性会社員・野上を主人公としています。彼女の働く職場は「ウェルビーイング」を追求する企業で、チャットの即レスや常にポジティブなスタンプ、批判よりも解決力を重視するという社内ルールが徹底されています。職場に加え、自宅でも優しい夫の「一緒に不眠を治していこう」という働きかけやレンタルニワトリ「チャッピー」の登場など、休息の場すら管理的になっていく状況が描かれます。そんな中、会社のeラーニング動画で出会った講師・出冬覚から「魂を少しいただければ、眠れるようにしてさしあげましょう」という契約を持ちかけられるのです。
現代社会の「ポジティブ」に反逆する長編
デビュー作『空芯手帳』では偽装妊娠という静かな嘘を、第2作『休館日の彼女たち』では閉ざされた美術館での心の避難所を題材にした八木詠美。本作は現代を生きる会社員ならではの苦悩が詰まった最新作となっています。自分を管理しようとするポジティブの包囲網に怒った女性が、漂白された現代社会からの脱出を試みるアドベンチャーとして展開します。
出版情報と今後の予定
『アンチ・グッドモーニング』は「文藝」2026年春季号に掲載予定。単行本は2026年6月29日に刊行される予定で、定価は1,870円(本体1,700円)です。装丁は川名潤が担当しています。電子書籍版も近日中に発売予定となっており、詳細は各電子書籍ストアにて確認できます。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001269.000012754.html