若い知性が築く、この国のかたち 「司馬遼太郎フェローシップ」
司馬遼太郎記念財団が、16~25歳の若者を対象に、探求企画を募集しています。司馬遼太郎作品をきっかけに興味を抱いた分野に関する企画を、2000字以内でまとめ、2023年9月30日(金)までに提出。受賞者には奨励金30万円が贈られ、1年かけて企画を実行し、レポートにまとめて発表を行います。
司馬遼太郎の想いを継ぐ
2023年に生誕100年を迎える作家、司馬遼太郎。今もその人気は衰えず、「竜馬がゆく」「坂の上の雲」など、映像化されている作品も数多くあります。文庫本にするとかなりのボリュームですが、読みだしたら止まらなくなるのが不思議。ワクワクしながら何度も読み返したという人も多いのではないでしょうか。
新聞記者としてスタートし、「梟の城」で直木賞受賞後は執筆活動に専念。隠れた偉人を見つけることに長けていて、教科書にもでない無名人にスポットライトをあてた小説を世に送り出しました。その一方、社会の広い分野にも好奇心を持ち続け、開かれた心の持ち主としても知られています。この国の行く末を案じ、同時に21世紀をになう若者たちの知性に、大きな期待と関心を持っていました。
菜の花に囲まれて
その想いを継承し、若者たちの知の世界への探求を応援する本公募。主催の司馬遼太郎記念財団は、日本と日本人について考え続けた司馬遼太郎の精神を後世に伝えるため、1996年から活動を始め、2001年開館の司馬遼太郎記念館を拠点に企画、講演などで精力的に発信しています。
フェローシップが求めるのは、司馬遼太郎作品にインスピレーションを得た知的な企画。過去受賞者が応募のきっかけとした作品は、「竜馬がゆく」「モンゴル紀行」「ロシアについて」など、さまざまです。調査・研究、旅行計画など、自由な発想で考えましょう。受賞者は、司馬遼太郎の命日でもある「菜の花忌シンポジウム」で企画の紹介を行い、その後、1年かけて企画を実行、翌年の同シンポジウムでその成果を発表します。
二十一世紀を担う若者たちへ
過去受賞企画は主催者WEBサイトで閲覧できるので、参考にしましょう。
それぞれ、司馬遼太郎のどの作品をきっかけに、どのようなことに関心をもったのかについて魅力的な切り口で書かれています。さらに研究を深めるための考察、検討などの説明も具体的に伝わってくるので、実際に企画実行する姿がイメージできる点もポイントですね。
受賞者は国内、海外を問わず、それぞれの場で1年間かけて調査、取材を進めながらレポートを作成し発表しますが、過去には絵や劇を用いたユニークな演出もあったそうです。そして受賞後も研究者、教員、医師、新聞記者など、さまざまな分野の最先端で活躍を続けています。過去受賞者で「フェローの会」を立ち上げ、今も交流の場を設定し、本や文化の啓蒙活動を行うなど、司馬遼太郎の精神を引き継いでいます。
受賞はゴールではなく、社会で活躍するためのスタート! この国、そして世界の明日をリードする存在となる飛躍の第一歩として、フェローシップに挑戦しましょう。
さんたろう
フリーランスの図書館司書&ライター。旅が好き。地方発の公募情報は、旅ゴコロをくすぐる。
出典:http://www.shibazaidan.or.jp/fellowship/
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