連載「あなたとよむ短歌」、9月からテーマ詠の募集になりました！
どこかに応募した作品も、未発表も作品もぜひご投稿ください（著作権がご自身にある作品に限ります）。

テーマ詠は、その単語を短歌のなかに入れても入れなくてもOKです。そのテーマにあった短歌をお寄せください。
今回募集したテーマは「かわいい」。まずは最優秀賞の発表です。

肉体があるからこうも生きづらいせめてかわいいパンティーを履く

ドキッとする一首ですが、共感する人も多いのではないでしょうか。疲れるのも、病気になるのも、お金がかかるのも、己に肉体があるがため。理想の自分とギャップがあるのも、この肉体で生きていかなければいけないから。肉体というのは、ある意味で自分自身の枷になります。
けれども、肉体があるからこそ「かわいい」と思える下着を着ることができるのも事実です。下着なら外からは見えません。年齢や性別についてあれこれ言われることなく、自分が「かわいい」と思ったものを身につけられます。生きづらい日々に対するせめてもの抵抗。テーマ詠「かわいい」を芯から捉えた一首でした。

続いて、優秀賞2首です。

「ターザン」の発音で言う「チューハイ」はすぐに君だと分かるので良い

思わず「ターザン」「チューハイ」と声に出してみた方も多いのではないでしょうか？　それだけで、人を動かすことのできる魅力がある一首だと言えます。
「君」のいう「チューハイ」の発音が変わっている。何人でお酒を飲んでいても、顔を見なくても、オンライン飲み会であっても、君が君であることがすぐわかる。かわいいな、と感じる主体の慕情が伝わってきます。

かわいいと言われた母にひげ生え
て病室の中ただ眠りおり

テーマ「かわいい」を衝撃的な角度から捉えた一首。かつて主体（短歌の視点となっている人物）が母から「かわいい」と言われてきたのか、それとも周りの人から母が「かわいい」と言われてきたのか、少し判断が難しいのですが（その点は語順を工夫するなどして、整理するといいかもしれません）そんな母親が、老いて、病室のなかでただ眠っている。もう回復することはないのかもしれません。
女性も高齢になると女性ホルモンが減り、ヒゲが生えることがあります。意識もなく眠り続けるなかで、それでも生きている証としてヒゲが生えてくる。元気だったころ「かわいいかわいい」と言葉を交わしていた母の最後の姿が、胸に迫りました。

佳作のご紹介です！

（つむじーさん）

「かわいい？」と確認されて「はい」としか言えないくらい「はい」だった頃

（岩松ぽむさん）

アーモンドがりりと噛んであの子にもかわいくない日がありますように

（金山めばえさん）

最後に、ワンポイント添削でぐっとよくなりそうな一首です。推敲のヒントにお役立てください。

元気かと　父から電話が　ありま
した　お嫁に行ったの　先週ですよ

（加糖さん）

父からの愛が伝わる一首です。句ごとにスペースを入れる「分かち書き」で投稿してくださいましたが、主催者からの指定がある場合以外は、基本的に「分かち書き」はしなくて大丈夫。むしろ「分かち書き」はしないで作歌しましょう！
57577のリズムを感じやすくなると思います。

元気かと父から電話がありまし
たお嫁に行ったの先週ですよ

もしくは、以下のように計画的にスペースをいれて、意味や間合いを生かしてもいいかもしれません。

元気かと父から電話がありまし
た　お嫁に行ったの先週ですよ

作品のご投稿ありがとうございました。引き続き、テーマ詠を募集しています！

＞ 前回発表「vol.31　攻めの姿勢」はこちら

 

応募要項

応募規定	短歌（57577）を募集します。 テーマは「電車」。 応募点数制限なし。
応募方法	応募フォームもしくはTwitterでご応募ください。Twitterの場合は公募ガイド公式アカウント「@kouboguide」をフォローして、ハッシュタグ「＃あなたとよむ短歌電車」をつけてツイートしてください。 ※応募者には、弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。
賞	最優秀賞1点＝Amazonギフト券3000円分 優秀賞2点＝Amazonギフト券1000円分 佳作数点＝ウェブ掲載 ※該当作品なしの場合があります。 ※作品を記事内で推敲する場合があります。
締切	2022年11月30日
発表	2023年1月9日