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入選常連・塩田友美子さんの気ままに公募ママ「言葉の選び方」

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作文・エッセイ
公募ママ

公募歴6年、入選回数は200以上。驚異の入選確率を誇る塩田友美子さんには、どんな秘密があるのだろう。読めば自分も入選できる!?

しばらく公募をお休みしていたと前回お伝えしましたが、発覚したことがあります!

それは、いつの間にかアイディアを出す「癖」が、どこかへいってしまったことです。

川柳や短歌も、毎日のように考えていた時期は発想のスピードも速かった。

でも今、とても苦戦しています。

当たり前のことでしょうが、何事も関わらないとわからなくなっていくものですね。

筋力もトレーニングをしなければ衰えていくように、近ごろは公募の筋肉も動きが鈍い。

自分が大切だと思っていることからは、なるべく離れない方がいいのだと実感しました。

そういうわけで、ひとつの作品をつくるだけでも唸りながら、生みの苦しみを味わっている最中です。

少し前に入選したこちらの作品は、まだ継続的に創作していた時のもので、パッと思いついたものでした。

湯快爽快の月間賞に選んでいただきました。

また来るよ くもった窓に 誰かの字

こちらは、以前この連載にも書いたことがありますが、日帰り温泉湯快爽快が主催しているもので「風呂」と「今月のお題」を掛け合わせて考える「ダブルお題」のタイプの公募です。

今回入選した時のお題は「予告状」でした。

この作品、投稿したはいいものの、実はあとから「こうすればよかったかな」「ああすればよかったかな」なんて考えた作品のひとつです。

その理由は「また来るよ」の部分の考えが甘かったかな、と思ったからです。

この部分を変えるだけで、受ける印象が変わることに気づきました。

「また来よう」にすると、複数人できた印象の作品となりますよね。

「また来たい」にすると、遠くてなかなか来られない人なのかもしれないというニュアンスが含まれませんか。

「また来るか」にすると、気軽な常連の雰囲気も出るように感じます。

「また来るぜ」にするとちょっと元気な男の子かな、なんて想像もできます。

このように、たった数文字で印象は大きく変わりますが、あまり考えずに投稿してしまった!と後から少し悔やみました。

しかし、「また来るよ」というメッセージ口調が、銭湯の店員さんや、ほかのお客さんに語り掛けるようで結果的によかったのかなと思います。

このように、同じような意味や言葉でも数文字で、印象がガラリと変わっていくことがありますよね。

きっと私たちの日常生活でも、そうなのでしょう。

例えば、子どもに話しかけるとき、「ダメ」とか「やめなさい」なんて親は言いがちですが、「こうするといいよ」とか「こうしてみよう」なんて言うと、互いに明るい気持ちになるように。

意識して選んだ言葉を口に出す癖をつけていくことで、スムーズな会話が成り立っていき、大げさに言えば人間関係まで変わっていくのかもしれません。

できるだけ素敵で、自分が納得のいく言葉を選べるように、よく頭の中で一人会議をしています。

きっと素敵な言葉選びは良い心の訓練となって、暮らしの中で自分自身も救ってくれるのではないでしょうか。