コメントありがとうございます。 大変嬉しいです。 そしてとても勉強になりました。 掟破りについては全く知識がなかったため メインで活動しているnoteでもかなりやっております。 今後、ご指摘を心に刻みショートショート精進を続けたいと思います。本当にありがとうございました!
- はそやmへの返信はそやm
- はそやm
皆勤賞で「小説でもどうぞ」にチャレンジしようと今年、決意をしたのに「アート」は投稿できず。残念で仕方ありません。この悔しさをバネに8月から再び毎月チャレンジ始めました。今回は読み専で参加します。 #第36回落選供養
- はそやmへの返信はそやm
斉藤 想さん ありがとうございます。 オチが決まっているのお言葉嬉しいです。
- はそやm
特別企画に参加します。 #第35回どうぞ落選供養 「名人狩り」 名人など要らない、平等な社会を目指すことを公約に掲げた政党が、与党となると「名人狩り」が行われるようになった。完璧な平等を意識した結果、複雑な作業は全てAIが行うため、誰がいつ休んでも文句を言われなくなった。誰が作業を行おうと結果が同じだからだ。見事な作業実績に会社は満足し、ノルマもなくなる。一昔前の実績を競わせる棒グラフを壁に貼り、やる気を起こさせるために取り散らす嫌な役目も上司は行わなくて良くなった。いや、上司・部下という区分さえ要らない。AIが全て判断をしてくれるのだから。誰もが好きに休み、モチベーションをあげたくなれば適度に仕事をする、家庭に仕事の不満を持ち込むこともない。ワークライフバランスは見事に実現され、ゆとりが生れ優雅な生活が実現したのだ。誰もが幸せでしかない、そう思ってたのだが。 自分なりの工夫で技術を磨いてきた、名人と呼ばれる人々は各地に存在し続けた。その人達でなければならないと仕上がらないものは一向に減らない。 「やはり梅干し名人のサワさんの味はAIでは無理だわ」 「おじいちゃんのつま先に勝るタケノコ探知機はないね」 本当に些細なものではあったが、名人の技術は世代を超えて伝え続けられるため、名人はどうしても消えないのだ。 総理大臣の凡野盆太郎は、イラついた。彼はなにをやっても凡庸で才能あふれる人々の陰に隠れ続けた人生だったからだ。全てをそれなりにこなせるため不出来と言われたことはないが、褒められることもない。常に中途半端な人生を送って来たのだ。スポットライトの当たる人々には妬みを感じ、自分は歯車の一種になるのではないかと不安を感じるようになった。それなりにできるというのは、もっと褒められていいものではないか?そう感じてから凡野盆太郎は密かに「人類凡庸計画」の活動を始めた。最初はやみくもに宣伝をしていたが、鼻で笑われる。秀でた人間がなぜ悪いのかが分からない相手にもされなかった。俺の計画はやはりダメなのか、一時は自信を失ったが考えを改め、宣伝する相手を最下層や社会の底辺を自虐する人々に変えてみると。 一部の才能ある人間に不平等を感じていた彼らは飛びついたし、彼らの前では凡野は優秀な人間だった。彼らはそれなりのレベルで物事をこなせず文句ばかり言い続ける人々だったのだ。また、かけ離れてできるのではなく頑張れば届きそうな程度にそつなくこなす凡野は彼らにとって親近感のわくリーダーであった。また、凡野には勝機があった。優れた階層よりも底辺と言われる階層の方がずっと人口が多かったのだ。あっという間に凡野が立ち上げた凡庸党は政権与党となり、AI化も進んだ。優れた人材は駆逐され、世の中は凡庸で満ち溢れた。 凡庸に心地良さを感じた凡野は、社会の中心にいた優秀な人材を駆逐しただけでは物足りなくなった。他に俺より称賛される人間はいないか。俺の影を薄くする人間はいないか。そうして「名人狩り」は始まったのだ。劣等感の塊の彼らはどんな些細なことでも名人と呼ばれる人々を許さなかった。日常の軽口で、 「あら、しわ取り名人ね」 というものでも許さなかった。地域の伝統を継承者から家庭の知恵袋のような存在まで名人の声を聞くだけで名人狩りに遭ってしまった。小学校に突然乱入し、九九名人や辞書引き名人、縄跳び名人まで捕まってしまった。名人狩りは老若男女関係なく厳しく取り締まられたのだ。 「国民よ、肩に力を入れるな、ゆとりと豊かな暮らしを楽しめ」 そう宣言する凡野に国民は称賛の声をあげた。楽な暮らしを知ってしまった今、よりよい暮らしを求めて努力する者は敵と認識されてしまったのだ。 こんなにうまくいくとはな。体が埋もれていくような感覚のソファに体を預けながら凡野はほくそ笑む。総理大臣としての決断は全てAIに任せた。自分はAIが唯一できない押印をすればいいだけだ。名人狩りにより世の中には俺以上に優れた奴はいなくなった。もしかするとだらけた生活を送りながら政治の頂点に上り詰めた人間は俺だけかもしれないな。そう思った瞬間、ドアがバン!と開かれ名人狩りがなだれ込んだ。 「な、なんだね!」 「だらけ名人を逮捕します!」 凡野は誰よりもだらけた生活を送ったことでAIにより名人認定されてしまったのだ。 「こら!俺がいなくなったら世の中まわらなくなるぞ!」 凡野がいくらわめいても判断能力のない人々はAIの判断のまま凡野を名人刑務所へぶち込んだ。 凡野がいなくなると判断能力のない人々が、人以上に有能なAIに腹を立て「名人狩り」と称して破壊してしまった。判断能力のない人々しかいなくなった世の中がどうなったか、それは誰も知らない。 「こわーい!」 「怖いでしょ?だからね凛音ちゃんはしっかり勉強して九九名人になりましょうね」 「うん!」
- はそやm
#第34回どうぞ落選供養 先ほどは初めての投稿のため本文を貼り付け忘れました。 ひねりもアイデアも足りない。まだまだ実力不足です。 「はるの湯」 こんなに気持ちいいのに最後か。湯船につかり天井を見る。タイル張りの浴槽、熱めの湯。肩までつかると思わずため息が出てしまう。なんでちょくちょく来なかったんだろうと自分を責めたくなる。近所の銭湯、はるの湯が閉まると聞いたのは先月末。その話を聞いて以来、連日はるの湯は大賑わいで番台の爺さんが「男湯は今20人入浴中、女湯は10人浴中!」と早口で伝える。混んでいるから長湯はごめんだよ、という意味も込められていた。気を抜くと聞き取れないほど早いのは下町育ちであるせいか。 「おひさしぶりです」 先月末に何十年かぶりに訪れたとき、そう挨拶をするとジロリと見、すぐに読んでいた新聞に目を落とした。さっさと入ってこいといわんばかりだ。変わらないなと苦笑する。小学生の同級生の実家ということで昔は何度も入浴に出かけた。 「家に風呂があるのに」 と言われても風呂場ではしゃぎすぎて大人に怒られても行くことをやめなかった。はるの湯には、なにか惹きつけるものがあったのだ。中学でも部活帰りにも顧問に内緒で友達と寄った。いつもは無口な番台の爺さんも泥だらけの中学生がドヤドヤと来たときだけは、 「汚すんじゃねえぞ!」 と大声を出した。 「へーい」 と一応は返事をするが泥だらけの足で入るものだから、床は汚れてしまう。孫の智が後で掃除をさせられていたと聞いてからは、みんなで床を拭いてから帰るようになった。 高校になり、世界が広くなると自然とはるの湯から足が遠ざかった。楽しいことや辛いこと、自分のまわりで起こることが多すぎで地元にまで目が届かなくなったのだ。ワンルームの小さな浴室でシャワーを浴び仕事に出かける、たまに同僚と会社近くのサウナに行く、そうやって銭湯の思い出は俺の記憶の中でフタをされていった。 子どもも成長し、休日にどこへ行こうか頭を悩ませなくても済むようになった頃、はるの湯の廃業が飛び込んできた。スマホに流れてくる地域のWEBニュースを見て、懐かしい記憶が蘇ってきたのだ。慌てて出かけると中学の頃のままの爺さんが番台で座って早口で話している。一気にタイムスリップしたような不思議な気持ちになってしまった。 43度の熱い風呂は5分も入れば十分だ。誰もが、さっと汗を流しさっと上がる。どんなに混んでいても人の流れがスムーズなのは熱い風呂のおかげだろう。長時間つかれないが、あがった後の爽快感は家の風呂では味わえない。お休みどころでコーヒー牛乳を飲んでいるとまた昔のことを思い出す。たまに、ごくたまにだが爺さんが俺達にコーヒー牛乳をおごってくれたのだ。 「ん!」 口を聞くのも惜しいと言う感じでパッと瓶を渡してくれる。 「ありがとうございます!」 ほてった身体で床を拭き終わった後のコーヒー牛乳は最高だった。爺さんの口元が心なしが笑っているような気がしたのは気のせいではなかったと思う。 「今日も混雑していますね」 空き瓶を片付けながら番台に声をかけると、 「廃業の話が流れたらこうよ」 と言って鼻で笑われた。思わずズキリと胸が痛んだのが顔に出たのだろうか。 「気にするねい。これがご時世ってもんよ」 とニカっと笑って新聞に目を通した。 人は大切なものを失って初めて気づく、どこかで聞いたことがあるような文言を思い出しながら帰った。 はるの湯が廃業して半年、スマホにまた地域のWEBニュースが流れた。 はるの湯、リニューアルオープン! 「ちょっと!どこ行くのよ!」 驚く妻の声を背に受けながら部屋着のスウェットのまま家を飛び出す。はるの湯の前まで来て本当に開いていることを確かめる。誰かが買い取ったのか?恐る恐る暖簾をくぐり下足入れの札を取る。入り口は変わっていないがリニューアルオープンって?番台も変らないなと思いながら番台の中をのぞくと、 「ひっ!」 「男湯は13人入浴中、女湯は8人入浴中!」 爺さんが座っていた。廃業したのではなかったのか?呆然としている俺に向かって、 「後がつまってんだよ!ちゃっちゃと入りな!」 と早口でどやされた。だが心なしか口元が笑っている。混乱したままフラフラと脱衣場に入ると床を拭いている従業員とぶつかってしまった。 「あ、すみません」 「いや、こちらこ……徹じゃん!」 従業員は智だった。はるの湯廃業の話を聞いて智は爺さんに受け継ぐと言ったが、ご時世に合わねえと拒絶された。実は智が大学を卒業後も銭湯をやると言ったがカフェを併設すると言ったら怒鳴られておしまいになったそうだ。 「はるの湯のはるって婆ちゃんの名前なんだよ」 どうしても銭湯を残したい智は今回は爺さんを説得して営業を再開したのだという。 爺さんの思いを残しながら俺らしさをちょっとずつ出していこうと思う、という智と入浴後、コーヒー牛乳で乾杯をした。
- はそやm
銭湯の閉店と再開を書きましたが、2か月経つと物語にひねりがないなと反省しています。思いついた時はすごいアイデアだと興奮したのですが。まだまだだなあ。#第34回どうぞ落選供養