入賞作品から学ぼう!「短歌」
公募ガイドONLINEでは募集中のコンテスト情報だけでなく、結果発表についてもご紹介しています。今回取り上げるのは「短歌」です。作るにあたり、意外と長く感じる五七五七七の形式。どのように作ればよいのかポイントを探ってみましょう!
【1】パターンを決めて作ろう!
心にあふれた情景や、心の動きを詠もうとしてもどこから作ればいいのか迷ってしまいますよね。そんな時は、上の句と下の句の組み合わせを決めてから作ってみましょう!
【情景】「ふるさとの緑ゆたかな山やまが」+【情景】「とてもいい音春日けいこく」
(第7回和泉式部の里嬉野短歌大会、小学生の部、最優秀賞 松下大起さん)
どちらも情景について詠んだ句です。上の句では「緑」や「山」など視覚を使い、下の句では「いい音」と聴覚を使って詠むことで、同じ情景であっても変化が生まれますね。
【心】「きょうだいが五人になって多いけど」+【心】「かわいい声がしあわせにする」
(第7回和泉式部の里嬉野短歌大会、中学生の部、最優秀賞、山口美冬さん)
こちらはどちらも心について詠んでいます。上の句で「多いけど」と言い、下の句で「しあわせ」と逆説にすることで、普通に詠むよりもしあわせな様子が強調されます。
【心】「横道にそれた若き日泣きながら」+【情景】「ビンタをくれた熱き母の手」
(第7回和泉式部の里嬉野短歌大会、一般の部、最優秀賞(和泉式部賞)、穂苅敏さん)
上の句と下の句で異なるパターンです。上の句に心が詠まれることで「誰が」、「なぜ泣いているのか」と驚きがきます。そのあとの下の句で母だと分かり、句の意味が深まります。
【2】技巧を使ってみよう!
短歌の表現効果を高める様々な技巧。入選作品から技巧の使い方を学んでいきましょう。
【方言】「母さんのいてへん夜の父さんはわらわんのやでと娘は笑う」
(与謝野晶子短歌文学賞、一般部門、文部科学大臣賞 丸野幸子さん)
「いてへん」や「わらわんのやで」と方言を使うことで、ユーモアや温かみがある句になりますね。
【繰り返し】「ひとり泣くことはできても一人では笑えないよと病む友の言う」
(第7回和泉式部の里嬉野短歌大会、高校生の部、最優秀賞 古場哉平さん)
短歌は31音しかないので、言葉の重複は避けることが多いですが、この句では「ひとり」という言葉を繰り返し使うことによって強調され、印象に強く残ります。
【隠喩】「この道がバージンロード父は娘(こ)の精霊船に寄り添って行く」
(平成独楽吟、橘曙覧賞、短歌部門 牧野弘志さん)
隠喩は「~のよう」と直接言わない比喩のこと。この句ではバージンロードにたとえています。隠喩を使うことで、全体をよんだ時に情景が浮かび上がります。
【補足】「自由って安定しない物質だ時々固体ほとんど気体」
(与謝野晶子短歌文学賞、青春の短歌、文部科学大臣賞 峯田静里香さん)
上の句で自由について述べ、下の句でなぜ安定しない物質であるのか補足をしています。先に言い切ることで「なぜそう言えるのだろう?」とよみ手を下の句に引きつけます。
いかがでしたか? ぜひ、短歌作りの参考にしてみて下さいね。
与謝野晶子短歌文学賞https://www.koubo.co.jp/result/senryu/tanka/039054.html
第7回和泉式部の里嬉野短歌大会
https://www.koubo.co.jp/result/senryu/tanka/035362.html
平成独楽吟(へいせいどくらくぎん)