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詩を書く前に 知っておきたい2つのこと

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川柳・俳句・短歌・詩
公募ガイド2018年7月号

詩の書き方を聞けば、こう言われることが多いでしょう。

「自由詩ですから、自由に書いてください。決まりはありません」

一見、「なんだ、そうなのか、簡単だな」と思ってしまいそうですが、

これが曲者で、いざ書こうとすると、こんな恐怖が脳裏をよぎる。

「自由に書いて、それで『そんなの詩じゃないよ』と言われたらいやだな」と。

ダンスもそうですね。

「自由に踊ってください」と言われて自由に踊れるのは、ある程度、踊れる人です。

初心者が自由に踊っても、まあ不格好になってしまうのがオチでしょう。

「自由に」「お好きなように」という言葉が、初心者を苦しめるのですね。

詩の場合も、「初心者は、これだけは押さえておけ」という決まりがあったほうが楽なんですね。

ということで、詩を書くときに押さえておきたいことを2つあげましょう。

 

1つは、「詩は、読んで気持ちいい言葉」ということ。

歌のメロディーとは違いますが、心地いいリズムがあります。

 

かんかんづくしを たずねたら

みかん きんかん さけのかん

おやじやかんで こはきかん

すもうとりはだかで かぜひかん

さるはみかんの かわむかん

(谷川俊太郎『詩ってなんだろう』より)

 

るるり。

    りりり。

るるり。

    りりり。

るるり。

    りりり。

るるり。

るるり。

    りりり。

るるり。

るるり。

るるり。

    りりり。

(草野心平「おれも眠らう」、『Ⅷ』より)

 

はっけよい

すもうとる

こんにちは

ぼうしとる

てんどんの

でまえとる

セーターの

ごみをとる

(川崎洋「とる」部分)

 

どうでしょう。

読んでいると、不思議と気持ちよくなりますよね。

メロディーはないけれど、リズムがある。

これがあるのが、詩のひとつの条件でしょう。

もう1つは、「散文は歩行、詩は舞踏(ダンス)」ということ。

散文には始まりがあって、終わりがあります。構成で言えば起承転結で、作者は読者を引き連れて、結というゴールまで導きます。

一方、詩には決まった構成はありません。どこから始まってもいいし、その場に留まって、ある1つのことについて描写していい。

それを端的に表した言葉が「散文は歩行、詩は舞踏」です。

「詩では人の一生は書けない。人の一日も書けない。書けるのはせいぜい一瞬である」と言います。詩ではこれを強く意識してください。

 

この2つを知ったあなたは最強です。

 

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