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公募Q&A「応募」 郵送とWEB応募で、規定枚数が違う?

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郵送とWEB応募で、規定枚数が違うのですが。

現状では応募規定に従うしかありません。

計算上の枚数と実際の枚数は違う

文芸公募の応募要項を見ていると、こんな記述があったりします。

400字詰原稿用紙30枚以内(データ原稿は40字×30行で10枚以内)

400字詰原稿用紙は20字×20行。ですので、400字。
一方、40字×30行は1200字。計算上は400字詰原稿用紙3枚分です。
すると、40字×30行で10枚は、400字詰原稿用紙30枚?

しかし、「40字×30行×10枚」を20字×20行に直してみると、あら不思議、30枚にはなりません。
どの程度、改行するかにもよりますが、平均的には2~3割減ります。
なぜか。改行によって失われる空白の文字数が違うからです。

仮に、最初の一字分を空け、〈あっ! やばい。〉という文章を書いたとします。

□あっ!□やばい。

使った文字数は9文字。
ここで改行した場合、1行20字なら、そのあと、11字を使ったことになります。
対して1行40字の場合は、31字を使ったことになります。
枚数のカウントは空白を含みますから、字数は同じでも枚数が違ってくるのです。

え? わからない?
じゃあ、実際に試してみましょう。

(1)
 ある日の事でございます。御釈迦様は極楽の蓮池のふちを、独りでぶらぶら御歩きにな
っていらっしゃいました。池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のようにまっ白で、そ
のまん中にある金色の蕊からは、何とも云えない好い匂が、絶間なくあたりへ溢れて居り
ます。極楽は丁度朝なのでございましょう。

(2)
 ある日の事でございます。御釈迦様は極楽
の蓮池のふちを、独りでぶらぶら御歩きにな
っていらっしゃいました。池の中に咲いてい
る蓮の花は、みんな玉のようにまっ白で、そ
のまん中にある金色の蕊からは、何とも云え
ない好い匂が、絶間なくあたりへ溢れて居り
ます。極楽は丁度朝なのでございましょう。


両方とも芥川龍之介『蜘蛛の糸』の最初の段落です。
(1)は1行40字で4行。これを20字詰めにしたら計算上は8行になるはずですが、上記のとおり、(2)は1行減って7行しかありません。

字詰めが少ないほうが、改行で失われる空白が少ないのですね。
もちろん、字数は同じです。
同じですが(同じなのに)、40字×30行で1枚を400字詰原稿用紙3枚と単純計算してしまうと、答えには誤差が生じるということです。

幸か不幸か、郵送の人は激減している

さて、そうなると、データ応募の人は、郵送で応募する人より何割か少ない枚数しか書けないことになります。
40字×30行を400字詰原稿用紙に換算した場合、枚数は少なくなりますので、以内という規定には収まってはいますが、本来ならもっと書いてもよかったわけです。
なんとなく釈然としません。ざわざわしますね。

釈然としないどころか、悩むこともあります。
たとえば、「400字詰原稿用紙300枚以内(データ原稿は40字×30行)」とある場合。
40字×30行で100枚書いたあと、400字詰原稿用紙換算で300枚に収まっているか確認しようと、便宜的に書式設定を20字×20行に直してみる。すると、なんと230枚ぐらいしかなかったりします。

「あと70枚分も書ける」と加筆し、割愛した部分を復活させる。
すると、40字×30行で120枚ぐらいになったりします。
400字詰原稿用紙に書き直せば、ぴったり300枚になります。
でも、選考の際、単純計算をされ、「これ、360枚分ある」とボツになったら嫌だなあと不安になります。

もちろん、「400字詰原稿用紙換算300枚」とは書きますが、「うちは40字×30行で1枚を、400字詰原稿用紙3枚と計算するんだよね、はい、ボツ」となる可能性もあります。
それで泣く泣く「40字×30行で100枚」に戻す。規定に反したくはないので致し方ないですね。

「400字詰原稿用紙300枚以内(データ原稿は40字×30行)」のあとに、さらに「40字×30行で100枚以内」とあれば、これはもう単純計算しますという意味です。

改行が多い作品だと、行数は相当減ります。
実際に、試験的にめちゃめちゃ改行の多い作品を40字×30行で100枚分作り、これを20字×20行に直してみたら、なんと200枚しかありませんでした。

100枚も差があるのか、と愕然としましたが、まあ、規定でそうなっているのだから仕方ない。もともと400字詰原稿用紙200枚の規定だったと思って応募するしかありません。私たち応募者は規定を変えられませんから。

ただ、幸か不幸か、今、郵送で応募する人は1割程度です。そのうち、郵送で応募する人はいなくなるかもしれません。そうなったら、郵送とWEB応募の規定枚数の差ということもなくなります。

そうなると、400字詰原稿用紙に書くことを前提に数えるという習慣も方式もなくなるでしょうね。
いや、実際、400字詰原稿用紙の枚数は書かず、「38字×34行で100枚以内」とか、字詰めも指定せず、枚数ではなく字数を示し、「6万~20万字」といった規定が増えています。

郵送で応募する人も大半はワープロソフトなどを使っていますし、字数カウントもすぐにできます。
もういっそ字数だけの規定にしたほうが公平かもしれません。

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