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四畳半の部屋のなかで海を見に行く方法「第八回和歌の浦短歌賞」

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多くの歌人が訪れ、言葉を紡いできた歌枕の地、和歌の浦。この場所で八回目となる「和歌の浦短歌賞」が開催される。部門は「自由詠」と「和歌の浦」の二つで、締切は6月30日。大賞作品には賞金10万円が贈られる。

 

海や歴史の解釈が鍵

和歌の浦澄みたる青を筆にとり描く翼よいま遥かなれ


山下眞美

 

第七回和歌の浦大賞に選ばれた作品。つらぬくように青い海。その青さをキャンバスに写し取っていく勢いが込められた一首だ。その爽快さを受けて上句に戻るとき、筆をとる主体の勢いが海の青さをさらに輝かせる。

 

また、この公募には和歌の浦の地名や風物からの発想を短歌にする「和歌の浦」題詠部門がある。風景や歴史、印象を、自分自身の言葉で表現することがポイントだ。和歌の浦が想起されるならば、必ずしも地名を作品に詠み込む必要はない。

 

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和歌の浦干潟(主催者提供)

 

この写真は主催者のおすすめスポット「和歌の浦干潟」だが、ほかにもたくさんの景勝地や歴史ある建造物がある。実際の場所に足を運んでみるのは、この短歌賞に挑む上でおすすめの方法のひとつ。全身で和歌の浦を感じることで作歌に生かすことができる。

 

しかし、和歌山以外の場所に住んでいる人にとっては、現地に行くのはむずかしい。私も東京に住んでいるので、腰をあげるエネルギーが必要だ。懐の事情も厳しい。……それでも、この題詠に参加してみたいという気持ちが止まらない。

 

そこで、この東京の四畳半の部屋の中から、どうにかリアルな和歌の浦を感じる方法はないかと考えてみた。

 

 

Google Earthで和歌浦に

そこでひらめいたのが、Google Earth。このサービスを使えば、好きな場所に降り立ってあたりを見回せる。世界中のどこにいようとも、だ。九州にいるあなたも、アメリカにいるあなたも和歌の浦に運んでもらえる。

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Google Earthより 撮影:Michael Andersen

 

たとえば、この写真は公式サイトでも紹介されている「不老橋」。公式サイトでは橋しか見えないが、Google Earthを使って見渡してみると、近くに神社があることがわかる。

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Google Earthより 撮影:Michael Andersen

 

その位置から振り向くと、穏やかな内海が広がる。陽の光に照らされている海面の青が美しい。

 

となれば、神社の真向かいに橋があることから発想して短歌を詠んでみるのはどうだろう。この場所では海の風も感じられるはずだ。編集部の私も部屋の中で、和歌の浦の風景を題材に短歌をつくってみた。

 

海風をほほに受けつつ待っている、心で橋を渡れる人を

 

 

ツールで想像を助ける

Google Earthの使い方は簡単。起動して、行きたい場所を検索し、人間のマークをクリックアンドドラッグで道の上に落とすだけ。すると、落とした場所の風景を360°で見ることができ、しかも道を歩くように進んでいくことも可能だ。

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フォトコンテストでは、こういった方法は使えない。実際の風景を解釈し直して、作品として立ち上げる「文学」だからこそできること。もちろん、和歌の浦の写真をひたすら見たり、本を読んだりして発想するアプローチもある。

 

風の爽やかさや、海の冷たさを肌で感じることでしか書けないものも確かにある。しかし、テクノロジーに助けられながら生んだ詩情が劣っている訳では決して無い。いろいろな方法をためしながら、「和歌の浦」を短歌に綴じ込めてほしい。

 

ライター
なが

公募情報ライター。短歌がどうしようもなく好きです。好きな食べ物は油そばです。

出典: https://www.wakaura-tanka.com/

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