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誰でも一生に一冊小説が書ける。④:あなたに合った文学賞はどれ?

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文学賞にもいろいろあり、賞の趣旨や特徴もさまざま。ここでは、どんな賞をどんな観点で選ぶか、その目安を示します。

文学賞にもいろいろあることを覚えておこう

公募文学賞を、純文学系とエンターテインメント小説系に分けた場合、両極はわかりやすい。
純文学系は、「文學界新人賞」「新潮新人賞」「文藝賞」「群像新人文学賞」「すばる文学賞」。
これらは母体となる文芸誌「文學界」「新潮」「文藝」「群像」「すばる」が芥川賞作品を輩出していることからもわかります。
この5賞以外では、「太宰治賞」も純文学系です。
一方、エンターテインメント小説系とはっきりわかるのは、タイトルにジャンル名があるもの。
「ライトノベル」「官能小説」「ミステリー」などの言葉がタイトルにあれば、ジャンルからしてエンターテインメント小説だとわかります。
それ以外の賞は、審査員の顔ぶれ、顕彰している作家が誰かによっても変わってきますが、応募要項に特にジャンルの記載がなければジャンル不問です。
つまり、純文学っぽいものが選ばれることもあれば、エンタメ色の強い作品が選ばれることもあります。

芸術的で新規性が高いか、娯楽性が強い物語形式か

純文学系とエンターテインメント小説系の公募の違いがわかったとして、問題は自分の作品はどっちなのかということ。
一応、純文学は芸術性、エンターテインメント小説は娯楽性という違いがありますが、ほとんどの小説は芸術性と娯楽性を両方持っており、一概には言えません。
強いて言えば、テーマへのアプローチの仕方が違います。純文学は普通の人は気づかないような人間の姿をあぶり出します。エンターテインメント小説は、誰もが共感できるような題材を選び、誰もが共感できるように書きます。
新規性があるかどうかでも違いが見られます。純文学は今までにないテーマ、今までにない書き方をしたものが多く、エンターテインメント小説は形式的にはわかりやすい物語が多い。定型のかたちにそって読者を楽しませます。
自分の作品は今までにない書き方だと思えば純文学系、中身は新しいが形式は定型の物語形式という場合はエンターテインメント小説系の文学賞に応募してください。

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いきなり頂上を狙うか、裾野から攻めていくか

あなたがプロ志向なら、プロの作家を輩出している文学賞に応募するといいでしょう。そうした賞では、「文學界新人賞」なら「文學界」といった母体となる雑誌があり、そこに予選通過者が掲載されますから、ある程度は自分のレベルがはかれます。
自分の腕に全く自信がないという人は、身の丈に合ったところからという手もあります。それを皮切りに、わらしべ長者的にステップアップしていきましょう。

文学賞選び:7つのパターン

①主催者で選ぶ 

志向がはっきりしている人は、主催者で選びましょう。 
たとえば、プロ志向の人なら、大手出版社が主催する文学賞を狙うのが最短距離。大手といってもいろいろありますが、文庫を持っているような出版社ならベスト。
受賞すれば担当編集者がつきますから、これは何よりの特典です。 
また、母体となっている雑誌が好きで、そこに載りたいという場合も、主催者で選びます。

②審査員のファン 

審査員の先生のファンで、あの先生に読んでもらえるのならという理由で応募する人も少なくありません。
審査員の先生は最終選考に残った作品しか読みませんので道のりは遠いですが、読んでもらいたいというのも、ひとつのモチベーションにはなってくれます。

③ジャンルありき

純文学しか書かない、推理小説オンリー、ライトノベル一筋など、ジャンルが決まっている人はそうした賞に応募しましょう。
書いたものがたまたまミステリータッチだったという場合はジャンル不問の賞でもいいですが、これからもミステリー一本で行きたいのなら、ミステリーの賞がいいでしょう。受賞すれば、ミステリーに詳しい編集者が担当になってくれます。

④枚数で選ぶ

初心者でそんなに長いものは書けないという人は、短編や掌編の公募から挑戦しましょう。
ただ、短編の文学賞でも、プロの作家を輩出している権威ある賞もありますので、応募しやすいことがイコール受賞しやすいということではありません。

⑤単行本化・講評がある

賞金以外の特典を文学賞選びの基準にする人もいます。
たとえば、毎年受賞作を単行本化しているかどうか。本を出版してみたいというのは誰もが抱く夢ですから、これは当然です。
また、応募(または1次通過)すると講評がもらえるという特典を応募の基準にしている人も。

⑥応募数が少ない

ライバルが少ないところに応募する穴場狙いです。文学賞の中には、プロの登龍門でもなく賞金も高くなく特徴もなくという地味な賞もあります。腕試しに!
ただ、長編ミステリーの賞は応募数こそ少ないですが、応募することのハードルは高い!

⑦地域限定

これも穴場狙いの一つ。地方紙や地域の文芸誌などが主催となって月例小説コンクールを実施していたり、今の時期は新春文芸といった名称で、地方紙が小説の募集をしていたりします。
地元の新聞社に問い合わせるか、サイトを検索してみてください。

公募文学賞の傾向と正しい対策

文学賞に応募するときは、まずその賞の趣旨や創設の背景、募集しているジャンルを確認します。
本格推理の賞なのに、推理のすの字もないような作品では受賞しようがありません。
一方、過去の受賞作を読んで、題材やテーマについて同じ系統のものにしようとするのはお勧めではありません。これは逆で、求められるのは過去の受賞作にはないもの。同じものは二つは要らないと思ってください。