最後に、今回はこちらの2作品をご紹介します。

恥じらいの実を口にするまでは健康ランドのイブだったのに

（はあとのええすさん）

手始めに一駅分を歩いたらこんなところにパン屋あり

（ぼたんさん）

こちらの2首とも、短歌の定型（57577）ではなく、字足らずになっているのにお気づきでしょうか？
狙いがあっての字足らずではなく、うっかり足りていなかった印象を受けます。試しに、定型に直してみましょう。まずは、はあとのええすさんの作品。

恥じらいの果実を口にするまでは健康ランドのイブだったのに

「実」を「果実」にしただけです。音読してリズムを確認してみてください。
次に、ぼたんさんの作品を定型に直してみましょう。

１）手始めに一駅分を歩いたらこんなところにパン屋があった

２）手始めに一駅分を歩いたらこんなところでパン屋のにおい

「（１）は「あり」を「あった」にして音数を合わせました。それでもいいのですが、たとえば（２）のように「こんなところでパン屋のにおい」と嗅覚を描いてもいいかもしれません。どうしても視覚メインの作品が多くなりがちなので、積極的に嗅覚や触覚なども取り入れていくと作品に幅がでます。

それぞれ「健康ランドのイブ」というインパクトや「こんなところで」という意外性など、一首のなかに確固たる魅力＝読者が目を留めるフックがあるすてきな作品でした。ぜひ、定型も意識してくださいね。

作品のご投稿ありがとうございました。引き続き、テーマ詠「辛いもの」を募集しています。
テーマ詠は、お題の単語を短歌のなかに入れても入れなくてもOKです。そのテーマにあった短歌をお待ちしています。 どこかに応募した作品も、未発表も作品もぜひご投稿ください。（著作権がご自身にある作品に限ります）

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