あなたとよむ短歌 vol.45 テーマ詠「健康」結果発表 ~定型のなかにフックを入れて~(2/3)
それでは、佳作のご紹介です!
本来の目的なんぞしゃらくせえ 手洗いうがいもせずにヤクルト
(ええさん)
「しゃらくせえ」からの下句のカッコ良さにしびれました。でも手洗いはしましょう!
痩せねばと思っています 思いつつバターにパンを塗っております
(高原すいかさん)
高原さん、今回2首目です。丁寧な言い回しから、後ろめたさと開き直りが伝わってきます。
焦らずにゆっくり行こう今やっと歩けるようになった二人で
(宮緒かよさん)
シンプルながら心に響く作品。「今やっと」という副詞の重なりに歩みの重みを感じます。
お元気で。お元気ですか。元気です。あなたが元気そうでよかった
(矢入えいどさん)
「元気」とは何か、人によって違うかもしれません。でも、それを願って喜ぶのが親愛かも。
嗅覚がもどらず気づけない初秋こどものうんちも金木犀も
(おおがクラブさん)
新型コロナ罹患の影響でしょうか。うんちと金木犀という並びに主体の日常を感じます。
二日前これから朝に走ろうと言ったあいつは今日来ていない
(田上稀さん)
おそらく昨日は来ていたんだろうな、と想像できる点が楽しい一首です。明日は来るかな?
ラーメンのスープのごとくまぜそばに柔道部員がラー油をかける
(池田涼真さん)
ラー油の豪快なかけっぷり、体格の良い柔道部員の食べっぷりが目に浮かびます。
病名を小石の軽さで悲しめば母親もそうだったのなんて
(山田香ふみさん)
「小石の軽さで悲しめば」がすばらしいです。どんな病でも簡単に心からは流せません。
誰からも言われないから一万歩歩く言われたらまず歩かない
(泰源さん)
堂々たる「あまのじゃく宣言」。むしろ小気味がよく、共感する一首です。