小説投稿サイトのすべて④:書き続けられる仕組みが充実! エブリスタ


エブリスタのここがすごい!
作家育成に積極的
選評がもらえるコンテスト、プロの作家による小説教室などを開催している。
ユーザーの交流が盛ん
「サークル機能」があり、ユーザー同士で支え合えるため長く書き続けられる。
ジャンルの偏りがない
人気のジャンルはあるが、大きな偏りがなく、幅広いユーザーが集まる。
キャラミステリが現在の人気ジャンル
エブリスタの前身は、DeNAの「モバゲータウン(現・Mobage) 」内にあった小説コーナー。ゲームを楽しんでいる人が、小説や日記を書くようになったのが始まりだ。
のちに書籍化され、累計発行部数700万部を突破した『王様ゲーム』シリーズが爆発的な人気となったこともあり、2010年にDeNAとNTTドコモが共同出資して事業化された。
「当初はホラーやティーン向け小説が多かったのですが、2012年に「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」が「E★エブリスタ電子書籍大賞」ミステリー部門の優秀賞を受賞し、書籍化されてシリーズ累計120万部のヒット作となりました。これをきっかけに、今は「キャラクターミステリー」と呼ばれる文芸寄りの作品が増えています」(エブリスタ代表取締役社長・芹川太郎さん)
エブリスタ内で人気のジャンルは、世の中のトレンドとも関連している。「櫻子さん」のようなキャラクターミステリーが増えたのは、メディアワークス文庫から発売され、シリーズ640万部を誇るキャラクターミステリー『ビブリア古書堂の事件手帖』のヒットの影響が大きい。
「人気のジャンルはその時々で変わりますが、基本的にエブリスタの投稿作品はBLもあれば本格的な純文学もあり、特定のジャンルに偏りすぎていないのが特徴です。自分の作品がどこの投稿サイトに向いているかわからないという方は、幅広い読み手、書き手が集まるエブリスタがおすすめです」
また、作家の育成・プロデュース、長く書き続けるためのサポートなどに積極的な点も大きな魅力だ。今後は有料会員からの課金や広告収入で収益を得るプラットフォームにとどまらず、作家のエージェントとしての機能を高め、投稿作品の書籍化、映像化などの二次使用で収益を上げる方向性を目指すという。
短編コンテストで作家育成に取り組む
では、作家の育成などについて、エブリスタではどんな取り組みを行っているのだろうか。
「一から小説を書こうとしてもなかなか書けないという方は、案外多いものです。そこで、執筆のきっかけを提供したいという思いから、お題があらかじめ決められた短編のコンテストを多数開催しています」
たとえば隔週開催している『三行から応募できる超・妄想コンテスト』は毎回500~1000作品の応募がある人気コンテスト。
「本屋さん」「またね」といったお題をもとに100文字(3行程度)~1万文字の文字数で応募でき、入選すれば河出書房新社が発行する短編集「5分シリーズ」に収録される、もしくはエブリスタ公式SNSで配信・紹介される可能性もある。選評がつくのも大きなポイントだ。
「上達したくても、どこをどうすればいいか具体的なフィードバックが受けられる機会はそうありません。その点、このコンテストは隔週開催なので、選評でのフィードバックを次作にすぐ生かすことができ、コツをつかんで入賞の常連になる応募者もいます。このスピード感はネットならではです」
短編コンテストを鍛錬の場とし、そこで自信をつけたら、複数の出版社とタイアップして長編小説を募集している「エブリスタ小説大賞」に応募、受賞すれば、今度は単著での書籍化も可能だ。
「書き続けるモチベーションを保つには、運営側のバックアップだけでなく、ユーザー同士でつながり、支え合う仕組みもぜひ活用してください。互いに作品を読み合って、応援したいと思えば作品本文の下部にある☆をクリックしてスターを送ったり感想を書き込んだり。もしくは同じ趣味の仲間とサークル内で独自イベントを楽しんだりというク交流々がエブリスタの醍醐味でもあるんです」
エブリスタ発の本
『王様ゲーム 深淵8.08』(金沢伸明著・双葉文庫)
小説をほとんど読んだことのなかった著者が、反応をリアルタイムに反映しながら連載し爆発的な人気を獲得し、2009年に書籍化。累計発行部数620万部以上。マンガ化、実写映画化され、ホラーブームを牽引した。
『つよがりな君のためのホットミルク 通学シリーズスピンオフ』(みゆ著・コバルト文庫)
「通学」シリーズはエブリスタが主催している「seventeenケータイ小説グランプリ」にて準グランプリを受賞し、2010年に1作目を発売。
書籍・コミックのシリーズ累計発行部数が140万部を突破。実写映画化も話題に。
『贋作師と声なき依頼 京都寺町三条のホームズ(7)』(望月麻衣著・双葉文庫)
著者は2011年よりエブリスタで活動開始。
2014年5月より連載開始の「京都寺町三条のホームズ」は、2015年に書籍化。現在7巻まで発売されている人気シリーズ。「第4回みんなで選ぶ京都本大賞」も受賞。
※本記事は「公募ガイド2017年8月号」の記事を再掲載したものです。(特集監修:飯田一史(WEB小説評論家))