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実は、あなたも本が出せる①:今、アマチュアの著者が増えている理由

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出版社に負担してもらって本を出すことを商業出版と言う。その著者は作家や専門家など特別な人と思われていたが、近年は一般の人にもチャンスが広がっている。その理由は?

無名のアマチュアの本が多数出版されている

商業出版するなんて、有名人かプロ作家だろうと思うかもしれないが、最近は状況が変わっている。
つい昨日までは一介のアマチュアだった人の本が、数えきれないぐらい出版されているのだ。
では、その著者は、どんなきっかけで本を出せたのだろう。
主なものを挙げると、まずは持ち込み。自分で企画して自分で出版社に持ち込むのだ。
あるいは、ブログや個人サイト、SNS、投稿型プラットフォーム、電子書籍で人気のあったものが書籍化される例も多い。
また、近年増えているのは、出版社と著者をつなぐ出版プロデューサーが絡んだ本だ。

著者になるきっかけ

  1. 持ち込み
  2. 電子書籍
  3. ブログ・個人サイト・SNS
  4. 投稿型プラットフォーム
  5. 出版プロデュース

書籍全体は売り上げ減。でも点数は減っていない

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2016年の紙の出版市場規模は1兆4709億円で、前年比3.4%減。
この傾向は1997年からずっと続いている( 「2017年版出版指標年報」より)。

なぜ、アマチュアの本が商業出版されているのか。
左のグラフは、ここ7年の出版状況を表したもの。ご覧のように書籍の販売金額と販売部数は下がり続けているが、出版点数については、大局的に見れば、ほぼ横ばいと言っていい。
「この20年、書籍の売り上げは下がり続けており、それを補うため、出版点数を増やしているというのが書籍の現状です」(日本書籍出版協会・樋口清一さん)
今、著者の需要が高まっている。これは著者になりたい人には大チャンスだ。

アマチュアが食い込むなら実用書が最適!

どのようなジャンルの本なら、有名人でもなんでもないアマチュアでも勝負できるだろうか。
その前に、人はどんな本ならお金がなくても買っかという観点で考えてみたい。
小説はどうか。こうした娯楽に類するものは真っ先に削られる。たとえば、おこづかいが1万円減ったとしたなら、いの一番に削られるのは、それがなくても困らないもの。有名作家の作品か話題作でなければ売れない。
学術書、専門書はどうか。これも名のある大学教授の本などでないとなかなか売れない。
では、無名の著者の本でも堅実に売れるジャンルはなんだろう。
可能性があるとすれば、実用書だ。具体的には、「マネー」「生活指南書」「健康」「スピリチュアル」などの分野だ。
これらの本を買う人は、何かに困っていたり、何かをどうにかしようと迷っているわけだ。だから、それが解決できるとなれば、多少のお金は出す。
つまり、「これは欲しい」というお役立ちのジャンルであれば、出版社(編集者)のほうも「ぜひ本にしたい」と思うのだ。

本を企画するときに心得ておきたいこと

そうは言っても、商業出版化されるにはいくつかの条件がある。まずは、「何を書くか」。
今すでにある本では売れない。その本の売りが必要だ。
次に「誰に書くか」。
誰でも読みたい本は、誰も読みたくない本と同じ。具体的な読者ターゲットを絞ること。
三つ目は「誰が書くか」。
もちろん、あなた自身だが、では、あなたがどんな人なら本を買ってもらえるか考えよう。無名の主婦であっても、「年間100万円節約した主婦」ならどうか。そんな人が書いた本なら読んでみたいという独自のプロフィールを自分の中に探そう。
四つ目は「いつ出すか」。
時代背景や、そのジャンルの本が売れる時期ということもある。物事はタイミングが大事だ。
最後に「どこが出版するか」。
これは持ち込みをするときにも言えるが、その出版社の得意ジャンルを考える必要がある。出版社が「なぜこれをうちに持ち込んだの?」と思っょうな内容では企画が通りにくい。
誰にどんな本を提案するかによって、結果は違ってくるのだ。

出版社が本を出すまで

1.企画立案

まず企画を立てる。出版社(編集者)は売れる本、必要な本という観点でさまざまな本を企画する。編集者はプロデューサーでもある。

2.社内プレゼン

編集者は会社員でもある。企画を会社に承認してもらい、会社の予算で制作する必要がある。企画は会社が納得する内容でなければならない。

3.執筆依頼

企画がかたまったら、著者に出版のオファーをする。依頼するだけでなく、資料を集めたり、執筆の補助をすることもある。

4.編集・印刷

原稿を集めたり、編んだりする。判型や紙の種類、原稿料、定価、出版部数などを決める。原稿をデザインしてもらい、校正して印刷する。

出版社に「出版したい」と言わせるのが理想

ここでは、出版社がどのようにして著者を探すか(どのような観点で、売れる本の著者を探すか)について説明しよう。
まず、本を企画する人は、今、何が求められているかを考える。
何が流行っているか、どんなニーズが高まっているか。あるいは、そうしたムーブメントを作り出せないか。こうした発想は基本中の基本。
具体的に言うと、「今、人気の有名人に書いてもらえれば売れる」「有名でなくても、ものすごくキャラが立った人はいないか」、あるいは「誰もやったことのないことをやった人はいないか」のように探す。
同様に、ブログや電子書籍、同人誌などすでに世の中にあるものの中から、書籍化できるものはないかと探す。
これらはすでに実績があるもの、売れる見込みが高いものだから、当然、出版社側から「ぜひ単行本にしたい」とオファーがある。この時点で、立場的にはちょっとだけ著者に分があり、複数社を比べたうえで出版元を決定することもできる。出版社のほうから依頼がくるのが理想だ。

自分で持ち込むか、第三者に依頼するか

しかし、出版社に気づいてもらえないとなれば、自分から企画を持ち込んで売り込みに行く。その結果、どれくらいの企画が単行本化されているかというと、採用率は1%にも満たない。
なぜそのようなことになってしまうかというと、まず素人の企画カのなさがある。また、これは日本人的な感覚だが、向こうから売り込んでくるものは粗悪品という思い込みがある。
そこで出版プロデューサーに依頼する。出版プロデューサーとは、企画のブラッシュアップをサポートしてくれたり、著者に代わって持ち込みをしてくれたりする、出版社への橋渡し役。
近年は出版点数の増加から編集者が本の制作に追われ、新たな著者探しに十分な時間を避けない状態が続いている。
そこで編集者に代わって企画を立て、新人を育てる出版プロデューサーの需要が高まっているが、需要があれば有象無象が集まるのが世の常で、その能力はピンキリ。
しかし、有能な出版プロデューサーに依頼すれば企画を一から見直してくれるので、採用率は格段に上がる。

 

※本記事は「公募ガイド2017年7月号」の記事を再掲載したものです。

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