公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

その作品、みんなとかぶってますよ①:落選する最大の理由

タグ
作文・エッセイ
その他
バックナンバー

誰もが口にする言葉、「入選したい」。しかし、その割には「これでは入選しようがない」という練っていない作品が多い。まずはここから脱出しよう。

応募作品の9割が一次選考で落ちるという現実

応募作品の半分ぐらいは発想が貧困な作品で、それらは1次選考で落とされてしまう。
ここでは、予選で落ちない作品にするにはどうしたらいいかを探っていく。

誰でも思いつく第一発想は一旦捨てる

応募作品の9割は1次予選で落ち、うち半数ほどは「残念ながらこれでは再考するまでもなくボッだ」という作品だ。
そうなってしまう最大の原因は、やはり発想が当たり前という事情がある。
たとえば、9月号発表「阿佐ヶ谷姉妹の書き足しまSHow」のお題は、「昔むかしあるところに」だったが、選外作品には、
「昔むかしあるところに、おじいさんとおじいさんがいました」
「昔むかしあるところに、おじいさんもおばあさんも桃太郎もいませんでした」
といったものが多かった。
これらは「昔むかしあるところに」という流れのままであり、これは応募者が10人いたら10人が考える発想だろう。
こうした当たり前の設定で行くなら、それ相当のひねりを加える必要があるが、予選を突破しようと思ったら、それ以前にこの第一発想を捨てること。
少なくとも第二発想以降、できれば第三発想、第四発想で行けば、他の応募者とかぶることはまずないはずだ。
ただし、第五発想、第六発想と発想を広げていけばいくほどお題から離れてしまって、とんちんかんな作品になってしまうことがある。発想は広げるが、お題からは離れないことが肝心だ。

取材を通して得た主催者の声

  • 例として『こんな作品を』と提示したのですが、それに引っぱられたのか、例示した作品と似た作品が多かった。(某エッセイ公募担当者)
  • 愛称を募集しましたが、商品名に単純に「くん」を漬けたものがかなりありました。ひねりがないなあと思いました。(棒相性こうぼ担当者)
  • 作品を読んだ後、「それはまあそうだけど、まんまだね」と思ってしまう作品は少なくないですね。(某川柳公募担当者)

思い付きの凡庸な作品でなぜ応募してしまうのか

時間がない

「時間がない」のは忙しいからではなく、準備不足。締切当日に泥縄式に応募するのが原因。
「凡作なのは承知だけど、もうこれしか思いつかないからいいゃ」と応募するパターン。

意識が足りない

入選するレベルはどの程度かという公募に対する知識や経験が乏しく、安易に「ダメもと」と考えてしまう。
「ダメもと」と言っていいのは最低限にあるレベルの作品だけ。

粘りがない

最初に思いついたアイデアしか出さず、ちょっと考えて「もうこれでいいよ」と応募してしまうパターン。「まだよくなる、もっとよくなる」とねばり強く仕上げていきたい。

方法を知らない

入選する作品でないことはわかっているが、作品をよくする方法がわからない。
落選後、反省し、落ちた原因を分析するということをしないから、公募の経験値が上がっていかない。

手間をかけない

練って、寝かせて、また練って、それでもだめなら誰かに読んでもらったり、第三者の目で読みなおしたり、音読したり。
オンリーワンになるためにはある程度の手間が必要。

欲がない

絶対に入選したいと思えば、募集内容をよく読み、それでもどの方向の作品を求めているのかわからなければ、過去の入選作を見るはず。「これで入選できるのか」と問うことが大事。

予選を突破するためにこれからやるべきこと

簡単には入選できない、甘い考えは捨てる

箸にも棒にもかからない作品で応募してしまうのは、どこかで公募を甘く見て、「運がよければ」と考えてしまうから。確かに入選するには運もあるが、それは最終選考に残るような作品の話。
1次選考であっさり落ちるような作品には、運がいいも悪いもない。

とにかく考える、案をたくさん出す

頭の中で練りに練って妙案を1つ出す手もあるが、その前にアイデアをたくさん出し、その中から選ぶほうがいい。
たくさんと言ってもどの程度出せばいいかわからないと言うのなら、事前に数を決め、たとえば10案なら10案出し、もう出ないと思ったところからさらに3案出す。

人が考えそうものは捨てる

他の応募者と作品の内容がかぶらないようにするには、人が考をそうな案は捨てることが肝心。
「あれもかぶりそうだ、これもかぶりそうだ、それではもう書くことがないぞ」となったところにオリジナルが生まれる。応募の傾向を読み、読んだら逆を行く。

王道で行くなら売りを考える

エッセイなど実体験を扱う場合は、題材そのものは変えにくい場合がある。
あえてストレートな題材でいく場合は、選考委員に「同じ題材の作品とどこが違うのか」と言われたことを想定し、「ここが違う」という売りを考えておく。それがないと予選で落とされる。

 

※本記事は「公募ガイド2017年10月号」の記事を再掲載したものです。

特集の続きを読む