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童話賞入選への道①:童話賞入選の鉄則

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入選したいのであれば、どの賞を選んで、どの方向で書くかがわからないといけない。童話の前提について説明しよう。

自分の目的に合った童話賞を狙おう

童話特集を組むにあたり、事前にアンケート調査を実施したところ、75%の人が「プロ志向」と答えた。しかし、その割りには狙っている賞が掌編の賞だったりして、つまるところ、この数字には「できれば」「将来的に」がかなり含まれているようだ。
童話賞に応募する目的、志向は3通りが考えられる。

まずは、「プロの童話作家になりたい」。この志向の人は児童書を発行する出版社が主催する賞に応募するのが近道。
もう1つは、そこまでバリバリプロ志向ではないが、「生涯に1冊、自分の本を出版したい」という志向の人。このタイプの人は、受賞作を刊行した実績のある賞に応募するのがおススメだ。
最後は掌編・短編が得意な「趣味派」の人。この志向の人は企業や自治体が主催している手軽な枚数の童話賞を狙おう。

教訓話は面白くない。子ども目線で!

応募先が決まったとして、次に考えるのは何をどう書くかだが、その前に、これだけはやらないほうがいいということについて。
それは子どもを下に見て、こうしたほうがいい、こうするべきだ、こうすれば立派な大人になれると説く教訓話を書くこと。そういう話は好まれない。
また、教訓話でなくても、童話というと昔話風の話や動物が出てくる安易なメルヘン調のものと考えると、だいたい落選する。

対象年齢で書き方・書くことは変わる!

教訓話は書かないとして、では、優れた童話ならなんでも入選するかというと、そうではない。
たとえば、募集内容に「小学校低学年向け」とあるなら、大人でないとわからない難しい話を書いても入選しない。
難しいというのは言葉が難しいだけでなく、子どもにはなじみのない題材ということもある。
また、小学生といっても低学年と高学年では知識も知能も全然違うから、書き方や書くことは変わってくる。
グレード(対象年齢)について規定がない場合はどうするか。これは枚数である程度は図れる。5~10枚なら小学校高学年向けということはまずなく、小学校低学年か小学校中学年向けだ。

枚数が同じでも賞の傾向は違う

童話は「子どものためのお話」だが、100%子ども向けではない作品が選ばれることもある。
たとえば、JXTG童話賞やアンデルセンのメルヘン大賞、グリム童話賞などは作品集を書店で販売するわけではなく、かつ作品集の主たる読者は大人だろうから、時に大人テイストの作品が受賞したり入選していたりする。
一方、日本新薬こども文学賞や日産童話と絵本のグランプリの場合は受賞後に絵本として単行本化するせいか、大人のメルヘン風、大人のエッセイ風の作品が受賞することはまずない。
また、児童書の出版社が受賞作を刊行する場合は、当然、想定読者を無視して受賞作を選ぶことはない。

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童話創作Q&A

昔話やおとぎ話は童話に入る?

「むかしむかしあるところに……」という話も童話に入るが、童話賞の応募作品には向かない。動物が出てくること自体はいいが、人間では語りにくいなどの必然性がなければやらないほうがいい。教訓話も面白くならない。

過去の名作に倣えばいい?

古い童話の中にはネガティブなもの、宗教の戒めのような残酷な話、今人気の「君たちはどう生きるか」のように子どもにはやや難しいものもあり、すべてがよいお手本ではない。時代性も考え、何を手本とするかはよく考えたい。

扱う題材にタブーはある?

読者対象の年代にもよるが、小学校高学年以上を対象とする作品なら、母子家庭、いじめ、自殺、セックス……今はタブーはない。しかし、いたずらに扱うのではなく、読み手を納得させられる意図と必然性、いい読後感は必要。

大人の小説とはどこが違う?

まず描写の量が違う。大人は描写を手がかりに情景を推測し、それを味わうということをするが、子どもはそれより話が進行することを望む。しかし、場面をいきいきと再現する描写は必要で、だから簡潔に効率よくやるといい。

物語の視点は一視点がいい?

特定の人物の視点で語ったほうがわかりやすいが、短編は芥川龍之介の『蜘蛛の糸』のように神の視点でもいい。
ただし、Aの内面を書いたかと思ったら今度はBの内面というふうにやられると混乱する。誰が語っているか明確に。

 

※本記事は「公募ガイド2018年3月号」の記事を再掲載したものです。

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