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公募展出品の懸念を払拭し、アーティストとともに成長する「Hiroshima MoCA FIVE 23/24」

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公募ニュース

広島市現代美術館はリニューアルオープンにあわせて「リニューアル」をテーマとして、アート作品を募集中。締切は12月18日(月)17時。入選者5人(組)に活動奨励費として40万円が贈られ、3カ月間の展覧会が行われます。

子育て中でも閉館中でも、いつでも美術鑑賞を楽しんでほしい

たとえば、毎週水曜日に設定されている乳幼児を連れて作品が鑑賞できる「ベビーカー アートナビ・ツアー」。毎週水曜日に、その日はベビーカーで館内を巡ることのできる時間が設けられており、この時間は赤ちゃんが泣いてしまっても気にしなくてOKだそう。


通常の美術館では入場不可のベビーカーで作品を鑑賞する親子連れ。
改修後は子供たちが紙や木材で工作を楽しみ、ワークショップが開かれる多目的スペースのほか、乳児用の授乳室や多目的トイレも設けられ、誰もが使いやすい仕様になっている。

 

また、通常は閉館となる改装工事中でもさまざまなプロジェクトを開催。「現場サテライト」は休館中の美術館を探索し、改修工事によって姿を変えていく現場との関わりを、独自の手法で現代美術動画として配信しました。


「休館演習:ヒロスムがいます(仮)」より
無機質な工事現場と化した建物内外を加藤至、星野文紀、吉田祐からなるアーティスト・グループヒロスムが探索する様子を8時間に渡って配信。

 

美術館の近隣地域をはじめとする広島市内、そして館内や館にまつわる資料にひそむ文字デザイン(タイポグラフィー)を調査し、それらの特徴を活かした新たな文字作りを行った「新生タイポ・プロジェクト」など。このプロジェクトで作成された文字は、リニューアル後館内表示の一部で使用されています。

2020年12月から2023年3月にかけて行われた大規模改修工事。美術館に入れなくてもアートやデザインに触れる機会を、という学芸員たちの想いがこめられたプロジェクト。
 

出品無料に学芸員のサポート。とになく手厚い応募支援

1989年の開館以来、美術鑑賞の魅力を伝えるためにさまざまなワークショップやプロジェクトを行ってきました。それと同時に公募展のかたちも、より作家の創作活動を支援できるよう4回の変化をとげ、今回「Hiroshima MoCA FIVE」としてリニューアルします。

 

公募展に出品する際の最大の懸念、それは「とにかくお金がかかること」です。通常出品するには、高い出品料を払い自力もしくは運送費用をかけて搬入しなければなりません。

 

たとえば私が大学生時代に出品したある公募展では、出品料は1点 1万円、2点 1万5千円でした。これのほかに運搬料が約2万円。画材代として、100号サイズキャンバスが1万5千円に絵の具代が1万円……。出品するまでにかかる約5万5千円の出費は、学生にとって大きな痛手です。画材にお金をかけるため、出品料や運搬費を節約できるよう友だちと同じ公募展に出す、というのが貧乏美術学生あるあるでした。

 

また、搬入といっても指定の場所に置いて出品の手続きをしたら終了。自分の作品が会場のどのあたりに飾られるのかは会期が始まらないとわからない、なんてこともしばしば。わが子のように大切な作品を、知らない土地に置いてきてしまったような気持ちになります。

 

そんなアーティストの不安を最小限にするべく、「入選者と美術館がともに展覧会をつくりあげる」ことをモットーに掲げている『Hiroshima MoCA FIVE』。

 

出品者から見て本公募最大の魅力は、出品料が無料ということ。それだけでなく入賞者には活動奨励費として40万円が支給されるほか、作品制作および設置作業のための広島滞在については、宿泊先を斡旋してくれる場合もあるそう。叶うなら作品制作のためだけにお金を使いたい、というアーティストのわがままを思う存分発揮できます。

 

金銭面の補助だけでなく、ほかの公募展に比べ展示準備のサポートが格段に手厚いのもうれしいポイント。作品の配置場所、展示方法、その他について、魅力的な展覧会をつくるために、美術館学芸スタッフと相談しながら制作・展示をすることができます。

 

作品の見せ方の方法は学内や小さなギャラリーで展示するのと、美術館内展示室の大きな空間で展示するのでは大きく異なります。長時間の展示用の作品を吊るすワイヤーはどの太さが適切なのか。視線の誘導を思う通りにするにはどの順番で置くのすが最善なのか、など経験が浅い人ではわからないことばかりです。その不安を払拭し、アイデアやコンセプトをより魅力的かつ現実的に実現するにはプロである学芸員の方のアドバイスが不可欠です。

 

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本公募の大きな5つのポイント。アーティストのことを心から支援したいと考えているからこそできる改革です。

 

SNSが発展した今、公募展で発表する意味とは

作品を完成させるだけでも大変なのに、多大なお金と時間と労力をかけて「公募展」という場に出品することの意義とはなんなのでしょうか。

 

「ネット空間での発表と実際にモノを展示することの難しさと魅力、また他者による評価を経て発表に至る点にも意味を見出せることだと思います」と本公募展担当者は語ります。  

ネットで公開した作品にいいねやコメントがつくことも、もちろん嬉しいですが自分の作品に直接感想を言ってもらえる感動は展示会場でしか得られないものです。落選した作品を搬出する際に、その場に居合わせた出品者の方が少しためらいながらも「この作品を見て勇気づけられました」と伝えてくれたあの瞬間の喜びは忘れられません。

 

アーティストとしてこの上ない喜びを感じることができる場であり、どこよりも出品者に寄り添った本公募展はさらなる成長のきっかけとなること間違いなしです。たくさんの不安を抱えたあなたにこそ、アーティストとしての成長の道が切り開かれることでしょう。

ライター
武井麻美

公募ガイド編集部スタッフ。料理動画を見ながら大量に作り置きをするのが至福の時間。
趣味は漫画を読むことや絵を書くことなどインドアっぽいが、1日1回外に出ないと気が済まない。

出典: https://www.hiroshima-moca.jp/project/on-going-project/hiroshima-moca-five-23_24

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