せきしろの自由律俳句 第91回「白」結果発表
結果発表
第91回 課題: 白
せきしろの一句
個人タクシーの白色光りまくる事故現場
最優秀賞
乳歯と永久歯が入りまじった卒業アルバム
( 大阪府 フルカワ 33歳)
小学校の卒業アルバムを開けば、6年間が詰まっていて、そこには乳歯の子もいれば永久歯になった子もいるし、乳歯が抜けたばかりの子もいて、みんな笑っているのである。
優秀賞
死んだ原稿の上に投げ入る鶏卵の殻
( 千葉県 ような恵 26歳)
プリントして読み直した原稿が、いつしか枝豆のさや置き場になる。栗の皮置き場になる時もある。ゆで卵の殻の場合もある。昔は新聞のチラシがそうだったなあと思い出す。
川面に映る夏雲にじっと白鷺が乗っている
( 神奈川県 廣瀬順子 79歳)
川の音も蝉の声も風瀬音も風鈴の音も、夏の音が一切聞こえなくなる風景である。静寂の句だ。ふと我に返った瞬間、夏の音はまた響き渡る。今年もそんな時が何度かあった。
イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト