世界最大80万句のデータベースを活用!学生ベンチャーが"俳句SNS"で高齢者の心をつなぐ
福岡工業大学から誕生した学生発ベンチャー「株式会社熊猫(くまねこ)」が、俳句を通じて高齢者同士をつなぐ新しいSNSの開発に着手した。情報工学部の馬場研究室から生まれた同社は、約80万句という世界最大規模の俳句データベースを活用し、高齢者の心の健康維持と見守りを支援する画期的なサービスの実現を目指している。
同研究室は2016年から大手飲料メーカーの俳句コンテストに協力し、盗作や重複を検知する検索AIの開発に取り組んできた。この過程で蓄積された膨大な俳句データを基に、高齢者に特化したSNSプラットフォームの構築を進めている。このシステムではAIが投稿された俳句を解析し、利用者の心情や健康状態の把握にも活用することを計画している。
開発の背景には、高齢者のSNSへの関心の高まりがある。福岡県古賀市との共同研究で実施したスマホ教室では、多くの高齢者がSNSへの挑戦を希望しながらも、個人情報の取り扱いなどへの不安から踏み出せないことが判明。この課題に対応するため、同社は独自の個人情報保護AIの開発も予定している。
同社を立ち上げた大学院生は、研究を通じた地域の高齢者との交流から、認知症予防につながるシステム開発への思いを強めたという。2025年度下半期の本格運用開始を目標に、「俳句AI」「個人情報保護AI」の開発を進めている。高齢者の豊かな交流を支援する新たなプラットフォームの誕生に、福祉分野からも大きな期待が寄せられている。