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せきしろの自由律俳句 第92回「読む」結果発表 (2/3)

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結果発表

 

結果発表

第 92回 課題: 読む

 

 

佳作

祖父の本の黄ばみも読む
 (愛知県 ハムス太 16歳)

開いては読み返す手紙の折り目が危うい
 (秋田県 すぐり 33歳)

嵐がうるさくて本が読みやすい
 (東京都 水面叩 33歳)

青空なのに文字が入ってこない
 (神奈川県 ありすきー 38歳)

彫刻のように読む夕闇
 (京都府 まさ 34歳)

ラブレターが彼の手に渡った頃
 (大阪府 猫田しろ 43歳)

熟読してようやく別れの手紙と気付く深夜
 (東京都 汐海 岬 52歳)

成分表示を味わう野菜ジュース
 (北海道 ぶんぶん丸 18歳)

やる事なくてフリスクの原材料欄読み込む
 (北海道 エリンギ 37歳)

コンビニおにぎりの昼食独りで成分表読んでいる
 (東京都 根本史紀 53歳)

シャンプーの裏しか読むものがない
 (千葉県 xissa 59歳)

今日のメロスは鼻声だ
 (愛知県 ナカジマ 42歳)

新幹線裏にして置く文庫
 (長崎県 毎日ハッピー 45歳)

違うと知りつつあの顔浮かべて読む同姓同名
 (大阪府 つま先式部 18歳)

漫画を読んで顔を上げたらまだ柳沢慎吾が喋っていた
 (埼玉県 銅衛門 19歳)

色褪せた看板かろうじて読める
 (埼玉県 天海楓 21歳)

今年スイカ食べてた日記に書いてた
 (神奈川県 へやぼし 35歳)

水滸伝をめくる常連と話したことはない 
(東京都 しまこう 37歳)

ライナーノーツ熟読してた十代ももう遠く
 (大阪府 石川聡 43歳)

父の達筆の文字を読む午後
 (埼玉県 さっちも 52歳)

開かずの踏切身ぶり手ぶり唇読む
 (東京都 音秘 59歳)

読経が弾んでる
 (愛知県 徹之助 67歳)

 

今月の総評

祖父の本の黄ばみも読む』
経年ごと読む。新しい知識はもちろん、時間も思い出も読む。

開いては読み返す手紙の折り目が危うい』
大切な手紙。こちらも経年ごと読む。こんな手紙が欲しいと思う。

嵐がうるさくて本が読みやすい』
青空なのに文字が入ってこない』
嵐の音がするのにそれは読書の邪魔にならない。むしろ集中できる。一方晴天だと逆に読めないこともある。天気と読書の関係は興味深い。

彫刻のように読む夕闇』
陽が傾いていく中、じっと部屋で本を読み続ける姿が浮かぶ。

ラブレターが彼の手に渡った頃
関係ないこちらまでドキドキする状況だ。

熟読してようやく別れの手紙と気付く深夜』
自分のことではないのに苦しくなる句である。

成分表示を味わう野菜ジュース』
やる事なくてフリスクの原材料欄読み込む』
コンビニおにぎりの昼食独りで成分表読んでいる』
シャンプーの裏しか読むものがない』
読むものは至る所にある。逆になくなったら私たちはどうすれば良いのか。尋常ではない退屈が押し寄せるだろう。

今日のメロスは鼻声だ
朗読してくれる人が風邪か、あるいは花粉症か。

新幹線裏にして置く文庫
何を読んでいるのか知られたくない、ちょっとした自意識。自分もこうする。

 

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