東大理学博士が明かす!『君の名は。』のラストシーンの確率計算から原子核物理まで、29の知的好奇心を刺激する物語
物理学といえば難解な数式や専門用語ばかりというイメージを持つ人も多いだろう。しかし、今回発売された『美しい物理の小宇宙 29歳の東大理学博士が語る、 日常の世界から原子核まで29の物語』は、そんな固定観念を覆す一冊となっている。著者の小澤直也氏は29歳という若さながら東京大学で博士号を取得し、現在も第一線で研究を続ける気鋭の物理学者である。
本書では、「世の中にある本をすべて読もうとすると何年かかるのか」という素朴な疑問から、「引き寄せの法則を数式で表すとどうなるのか」といった現代的な話題まで、実に多彩なテーマを物理学の視点から読み解いていく。特に注目すべきは、新海誠監督の大ヒット映画『君の名は。』のラストシーンにおける、男女の主人公がすれ違う確率を計算するという意外性に富んだ章だ。
また、著者の専門分野である加速器を用いた原子核物理学についても、「現代の錬金術」と称して、最先端の研究現場の様子を分かりやすく紹介している。さらに、クラシックピアノを趣味とする著者ならではの視点で、「音楽はなぜ心地よいのか」という問いにも科学的にアプローチしている。
第69回小学館漫画賞を受賞した『数字であそぼ。』の作者、絹田村子氏も「あらゆるものの中に、誰かの知の結晶が息づいていることを知ることができる」と本書を高く評価。物理学の魅力を、専門知識がない読者にも伝えることに成功した一冊といえるだろう。
日常生活の些細な疑問から宇宙の始まりまで、29の興味深いテーマを通じて物理学の新しい魅力に出会える本書は、四六判224ページ、定価1,870円(税別)で全国の書店にて発売中だ。