せきしろの自由律俳句 第93回「花」結果発表 (2/3)
第 93回 課題: 花
佳作
墓地近くのコンビニならでは
(東京都 瓢箪 37歳)
野の花踏んで前へ
(千葉県 xissa 59歳)
花という名前に犯罪者がいるわけがない
(東京都 根本史紀 53歳)
祖母のコップの花柄は掠れ
(福島県 きりんのき 22歳)
花束をかかえてバスに乗り込む
(福岡県 長谷川 酔 22歳)
しずくを弾く朝のあじさい
(東京都 めめめい 17歳)
陽だまりの水仙時季を外して開く
(千葉県 牛美 86歳)
菊の香が葬儀場らしくする
(大阪府 雨あめ 84歳)
コスモスの花びらの裏から鱗雲を見る
(秋田県 古川哲生 62歳)
造花が出迎える
(京都府 Isohama 48歳)
綿毛のように造花の埃を吹く
(福岡県 迷鳩 47歳)
覚えているのはハイビスカスのアロハ着てたことだけ
(大阪府 石川聡 43歳)
ツツジの甘さ知っている側の人生
(北海道 エリンギ 37歳)
ひまわり迷路に麦わら帽たちの息遣い彼処に
(栃木県 縦川 島々 34歳)
食用菊摘む祖母の遺影
(神奈川県 ごまだいふく 26歳)
良いことも悪いことも帰り道には同じ花
(秋田県 日記ニキ 23歳)
花が夕で化粧をしている
(大阪府 俯6日 22歳)
縁石のカタバミを大事にして歩く
(東京都 川村仁 17歳)
部屋の角に落ちたいつかのドライフラワー
(熊本県 陽 17歳)
花が毎朝洗面所に一輪
(岡山県 野のはな 12歳)
工事現場の造花にも時間は流れる
(長崎県 毎日ハッピー 45歳)
『墓地近くのコンビニならでは』
海の近くのコンビニには海で使うものがあり、山の近くのコンビニには山で使うものがあるもの。墓地も然り。
『野の花踏んで前へ』
摘んでいけば自ずと進んで行く。言われるまで気づかなかったことだ。
『花という名前に犯罪者がいるわけがない』
たぶんそうではないのだろうが、そうである気もする。
『祖母のコップの花柄は掠れ』
経年である。その掠れはずっと見ていられる。
『花束をかかえてバスに乗り込む』
混んでませんように!
『しずくを弾く朝のあじさい』
まさに朝。朝露で濡れる足元を思い出す。