新進気鋭の作家、安堂ホセの最新作『DTOPIA（デートピア）』が第172回芥川龍之介賞の候補作に選出された。これは安堂のデビュー作『ジャクソンひとり』、第2作『迷彩色の男』に続く3作連続の快挙となる。

『DTOPIA』は、南太平洋の楽園ボラ・ボラ島を舞台にした恋愛リアリティショー「デートピア」を通じて、現代社会の闇を鋭く描き出す意欲作だ。白人女性"ミスユニバース"を巡って10名の男性が競い合う様子を40台のカメラが捉え、視聴者は島の隅々から出演者を追跡する。

本作は、ジェンダー、セクシャリティ、人種、出自に対する暴力、そして欺瞞と印象操作が蔓延する現代社会を映し出す鏡となっている。安堂の圧倒的な筆力で紡がれる重層的なストーリーは、読者を予測不能な展開へと誘う。

作家の柳美里は本作を「暴力から暴を取りはずす旅」の物語と評し、「読もう！ 旅立とう！ 旅によって運ばれるのは、あなた自身だ」と絶賛している。また、文芸批評家の渡邊英理は「異性愛主義や人種という不適切なカテゴライズにあらがうための、必読の一作」と評している。

『DTOPIA』の刊行を記念して、1月26日には安堂ホセと文筆家・伊藤亜和によるトークイベントが開催される。二人の新鋭クリエイターが、作品への思いや創作スタイル、最近の関心事について縦横に語り合う貴重な機会となるだろう。

安堂ホセは1994年東京都生まれ。2022年に『ジャクソンひとり』で第59回文藝賞を受賞しデビューを飾った。その後も精力的に作品を発表し、わずか3年で3作連続の芥川賞候補となる快進撃を見せている。

『DTOPIA』は、現代社会の諸問題を鋭く切り取りながら、読者を魅了するストーリーテリングの力を持つ作品だ。芥川賞の行方とともに、安堂ホセのさらなる飛躍に注目が集まっている。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000848.000012754.html