公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

せきしろの自由律俳句 第94回「とまる」結果発表 (2/3)

タグ
川柳・俳句・短歌・詩
俳句
せきしろ自由律
投稿する
結果発表

 

結果発表

第 94回 課題: とまる

 

 

佳作

踵踏んだ靴で割高自販機まで
 (岐阜県 次元 33歳)

いつかは止まる心臓と心臓と心臓で囲む食卓
 (岡山県 ゆめみさえ 36歳)

三塁コーチは腕を回してる
 (岐阜県 いっちゃん 65歳)

夏と冬つなぐ接着剤の秋が駆け去る
 (千葉県 江戸川散歩 73歳)

鳥がとまって冬木は詩になる
 (東京都 水面叩 33歳)

ABCクッキーをSTOPとならべてから食べる
 (岡山県 フラワー 12歳)

息を止めてもまわる地球
 (埼玉県 アル蜜柑 15歳)

何かと思えば富士山
 (東京都 たなかるつ 24歳)

海を見ながら青信号を待つ
 (東京都 白鳥 36歳)

床拭きの手を止めるシャッフル再生
 (大阪府 石川聡 43歳)

小雨になるまで空を見ている
 (千葉県 xissa 59歳)

救急車サイレン聞こえ止まる交差点の静寂
 (埼玉県 こせきり 19歳)

換気扇が止まった後の静寂
 (兵庫県 夕月 19歳)

閑古とした道路に浮かぶ赤
 (神奈川県 若草 20歳)

一時停止線無視してたんぽぽを摘む
 (兵庫県 青木菓子 20歳)

普段は見ない月が見たい旅館の夜
 (福島県 きりんのき 23歳)

更新止まってるブログのハイテンション
 (神奈川県 木暮俊貴 26歳)

自転車も項垂れている夏の団地で
 (熊本県 夏風かをる 27歳)

鼾声漏れる窓に大きな蛾がとまる
 (東京都 隣のみみみーる 29歳)

遅延して一泊
 (三重県 きのこ 31歳)

主失ったカレンダー5月のまま
 (大阪府 フルカワ 33歳)

信号無視が渡ってきて目を逸らす
 (神奈川県 へやぼし 35歳)

網戸を止まり木にしたセミは例外
 (静岡県 megumii 37歳)

聴診器がいつもより止まっていて不安
 (兵庫県 田中 佳 40歳)

駅弁の名残を膝に故郷の駅
 (東京都 稲葉智子 45歳)

演出ではなく読み込み中か
 (宮城県 カズタカ 47歳)

 

今月の総評

踵踏んだ靴で割高自販機まで
ビジネスホテルの自販機は少し高い。でも近い。わざわざ靴をきちんと履くのも面倒で踵を踏んで行く。身に覚えがありすぎる句である。

いつかは止まる心臓と心臓と心臓で囲む食卓
強い句である。読みながらドキドキしてしまう。

三塁コーチは腕を回してる
しかしランナーは……! どちらの判断が良かったのか気になる。

夏と冬つなぐ接着剤の秋が駆け去る
夏や冬より秋は曖昧な季節である。両者をつなぐ接着剤という表現が素敵だ。

鳥がとまって冬木は詩になる
単なる散文か、それとも自由律俳句か。そこには「詩情」の有無がある。

ABCクッキーをSTOPとならべてから食べる
やらなくてもいいことをやっている。それを句にしている。最高である。

息を止めてもまわる地球
ちょっとした「国破れて山河あり」だ。

何かと思えば富士山
「なぜみんなここで止まっているのだろう?」の答え。

海を見ながら青信号を待つ
青と赤と青の風景。なにか見るものがあるなら信号待ちも句ではない。

床拭きの手を止めるシャッフル再生
「今はRage Against the Machineの気分じゃない!」という思い。もちろん逆もある。

小雨になるまで空を見ている
ただただ静かで美しい。

 

  1. 1
  2. 2
  3. 3