100歳の人間国宝が紡ぐ、染織の世界 - 志村ふくみの情熱と美の軌跡
染織の世界に生涯を捧げた人間国宝、志村ふくみさんの100年の歩みを凝縮した一冊が登場した。世界文化社から1月23日に発売される『人間国宝・志村ふくみ100歳記念 《秋霞》から《野の果て》まで』は、志村さんの初作品から集大成までを網羅した、まさに決定版と呼ぶにふさわしい作品集だ。
32歳で染織の道に入った志村さんは、以来70年近くにわたり、紬織の技術を極め、芸術の域にまで高めてきた。その情熱は100歳を迎えた今も衰えることなく、「明日も機に座りたい」という言葉に表れている。本書では、琵琶湖の四季折々の表情を映し出した藍の作品や、草木染めの美しい色彩世界など、志村さんの創作の原点から最新作までを堪能できる。
特筆すべきは、志村さんの染織に対する深い哲学だ。「草木がすでに抱いている色のいのちを、私たちはいただいている」という言葉に象徴されるように、自然との共生や生命への敬意が作品の根底にある。また、源氏物語や和歌、旅と文学といったテーマを通じて、日本人の心の在り方を色と織りの世界で表現し続けてきた志村さんの姿勢は、現代の私たちに日本文化の精髄を伝えてくれる。
本書は単なる作品集にとどまらず、志村さんの人生哲学や日本文化への洞察を英語併記で紹介しており、国内外の読者に向けて染織文化の魅力を発信している。B5変型サイズ、144ページの充実した内容で、定価3,000円(税込)。染織ファンはもちろん、日本文化に興味を持つ幅広い層にとって、貴重な一冊となるだろう。
志村ふくみさんの100年の人生が紡ぎ出した美の世界。その軌跡を辿ることは、日本の伝統文化の奥深さを再発見する旅でもある。この機会に、染織の魅力に触れてみてはいかがだろうか。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001941.000009728.html