あなたとよむ短歌 vol.60【お悩み回答】~音数への挑戦~ (3/3)


今回はこちらの質問について考えていきたいと思います。
短歌で音数をどのくらい重要視するべきですか。たとえば、長い音数の固有名詞を入れるとテクニック点が加算されてより良い短歌と感じるなどはあるのでしょうか。(よく入れたなぁといったような)
そのようなテクニック点はないと思います、いや、ないです。でもちょっと面白いですよね、長い音数の固有名詞加点。「メリーポピンズ」のかの名曲「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」を思い浮かべました。
作歌に行き詰まったときや新しい感じの歌を詠みたいとき、自分に無理難題を課してみるのはおすすめです。やたら長い固有名詞をどうにかして入れてみよう、というのもいいかもしれません。無理に入れたら意外なリズムを発見できるかもしれません。
そもそも短歌は57577という定型があり、その「しばり」があるからこそ生き生き作歌できるという人も多い文芸です。目に入った物事、辞書で開いたページの単語、長い単語など、ぜひ挑戦を。
きちんと57577になっていないところに味があるというようなコメントを、たまに見ます。それってどうなのでしょうか。
「味がある」という言い方だけなら、短歌評としてはちょっと言葉足らずですね。ただ、X(旧Twitter)などの文字数制限のあるSNSだと、そういう感想を書くケースもあるかもしれません。
57577という定型がある短歌に、もし音が多く詰め込まれていたら、基本的には読者はその部分を速く読むことになります。四拍子のリズムに八分音符や十六分音符が入っているようなイメージです。勢いがでますね。
反対に音が足りなければ、読んでいてつっかえるような感じがするかもしれません。基本的にはよくないことですが、もしかしたら狙って読者を転ばせたい場合もあるかもしれません。
味があるというのは、面白みがあるということだと思います。つまり、なんらかの効果を感じているという感想です。他者はどんな効果を感じているのか、自分は感じないのか、考えるきっかけになりそうですね。
なお、短歌を始めて間もない方は、57577にこだわりすぎて助詞を省略しすぎるケースがあります。助詞を省略しても意味は通じる場合がほとんどですが、言葉として幼さ・成熟していない雰囲気が出てしまうリスクもあります。助詞を省略して定型に収めるか、定型からはみ出しても助詞を残すか、はたまた省略しないために他の部分を調節するか……。このあたりは丁寧に悩みたいところです。
引き続き、テーマ詠「怒り」を募集しています。
テーマ詠は、お題の単語を短歌のなかに入れても入れなくてもOKです。そのテーマにあった短歌をお待ちしています。
どこかに応募した作品も、未発表も作品もぜひご投稿ください。(著作権がご自身にある作品に限ります)
分かち書き、句ごとの改行はしなくてOKです。採用されている短歌の書式をご参考に!
応募規定 | 短歌(57577)を募集します。 テーマは「怒り」。 応募点数制限なし。 応募フォームに柴田さんへの質問欄を設けています。短歌のことや、作品づくりについて選者:柴田葵さんに質問があればご自由にお書きください。匿名で質問内容とその回答を記事に掲載させていただく場合があります。必ずしも回答があるわけではございませんので、ご了承ください。 |
応募方法 | 応募フォームからご応募ください。 ※X(旧Twitter)での応募はなくなりました。 ※応募者には、弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。 |
賞 | 最優秀賞1点=Amazonギフト券3000円分 優秀賞2点=Amazonギフト券1000円分 佳作数点=ウェブ掲載 ※該当作品なしの場合があります。 ※作品を記事内で推敲する場合があります。 ※発送は発表月末~翌月頭を予定しております。 |
締切 | 2025年3月31日 |
発表 | 2025年5月1日 |