「降りる人」が栄冠!第16回〈小説 野性時代 新人賞〉で木野寿彦さんが大賞受賞


文学界に新たな才能が登場した。株式会社KADOKAWAが主催する「第16回〈小説 野性時代 新人賞〉」の選考結果が発表され、木野寿彦さんの「降りる人」が見事大賞に輝いた。2025年3月7日に行われた選考会で、応募総数564作品の中から最終選考に残った3作品の中から選ばれた。
木野さんは福岡県在住の41歳。九州大学文学部卒業後、工場勤務や事務職を経験してきた経歴を持つ。その経験が「降りる人」という作品に深みを与えているのかもしれない。
受賞作「降りる人」は、30歳の主人公・宮田が鬱状態で仕事を辞め、ほとんど外出できなくなった状況から始まる。友人の勧めで期間工として工場で働き始めた宮田が、ニーチェの哲学から着想を得た「降人」という概念に出会い、そして同僚からの金銭トラブルに巻き込まれていく物語だ。現代社会の閉塞感と人間の存在意義を問う、深遠なテーマを持つ作品と言えそうだ。
〈小説 野性時代 新人賞〉は2009年に創設された文学新人賞で、エンターテインメント作品の新ジャンルを開拓することを目指している。冲方丁、辻村深月、道尾秀介、森見登美彦という錚々たる作家陣が選考委員を務めており、その眼鏡にかなった作品であることは間違いない。
木野さんには賞金100万円が贈られ、受賞作は2025年中にKADOKAWAから単行本として刊行される予定だ。贈呈式および祝賀パーティーは2025年11月に都内で開催される。また、選評は2025年4月25日発売の「小説 野性時代」5月号(電子雑誌)に掲載されるので、文学ファンは要チェックだ。
新人賞の受賞は、作家としての第一歩に過ぎない。木野さんが今後どのような作品を生み出し、文学界にどのような影響を与えていくのか。多くの読者が、その才能の開花を心待ちにしているに違いない。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000016590.000007006.html