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第46回 高橋源一郎「小説でもどうぞ」 課題「試験」結果と講評 

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小説
小説でもどうぞ
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結果発表
イラスト:福士陽香
■選考委員/高橋源一郎

1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。

募集中のテーマ

■第49回 [ 練習 ] 
8/1~8/31(23:59)

■第50回 [ まちがい ] 
9/1~9/30(23:59)

※第48回から応募はWEB限定になりました。

第46回結果発表
課 題

試験

 課題は「試験」ということで、どんな「試験」をみなさんは書いてくるか楽しみにしていた。そうしたら、普通の「試験」が多かったのは意外。だからこそ難しかったかも。

最優秀賞

 最優秀賞は高橋大成さんの「カンニング」。「僕」は試験中、カンニングをしている。眼鏡に小型カメラを仕込んで「司令室」に映像を送り、そして、骨伝導イヤホンになっている「つる」から声が聞こえてくるシステムだ。しかし、試験監督たちのチェックも厳しい。ドキドキの時間が過ぎてゆく。そして「ちょっと君」と声が。「試験官が厳しい顔でこちらを見おろしている」。そして、別室に連行される「僕」。ああ、もうダメだ……からの、驚きの逆転オチ。いや予想できませんでした! やられましたよ。

佳作

 川瀬えいみさんの「人生が決まる時」の「私」は、この「人生が決まる」大切な試験のために努力をしてきた。それは「私の人生」だけではなく「一門の浮沈」を決するほど重要な「ありとあらゆることが試される全人格的試験」だ。「私の両親」は「人生を決める最も重要な試験は大学入試」ではなく、この「試験」であることを知っていた。そして、試験当日がやって来る。緊張の極致。すべてをかけて「私」は試験に臨むのである。面白いです。どんな試験か最後までわかりませんでした。「叙述トリック」がずるいけど。

後悔 作品を読む
いちはじめ

 いちはじめさんの「後悔」。和久井義夫さんの「算数」によく似ている。浮浪者の「俺」は、「街の美観を損なう」からと、行政に長距離路線バスに押しこめられて都心から追い出された。こんなふうになったのは「大学入試センター試験」で痛恨のミス、間違えたところを塗ってしまったからだ。そんな「俺」を乗せたバスはガードレールを突き破り落下、過去がパノラマのように脳裏に浮かんだ。するとどうだ、バスの運転手が現れ、過去をやり直せると告げる。そしてあの運命の試験会場に。今度こそ……でもそうなるよね。

算数 作品を読む
和久井義夫

 和久井義夫さんの「算数」。「幸一」は、小学校六年の時の「つるかめ算」の試験をよく思いだす。中学入試で算数がダメ、私立中学に入れなかったのが転落の始まりだった。辛い営業が終わり、一人住まいのアパートに戻りコンビニ弁当に缶チューハイの夕飯。そのままベッドに入ると「どどん、がしゃーんと部屋が揺れた」。気がつくと三十年前の中学受験の日に戻っていた。ああ、これですべてがやり直せる! 「つるかめ算」もいまなら解ける。そしてやり直しの結果は……そのオチでいいんでしょうか。もったいない。


 桜坂あきらさんの「必勝鉛筆」の「主人公」(?)はタイトルにもなっている「必勝鉛筆」。えっ、それ何? 「それ」は「博士」が心血を注いで作り上げた特別な鉛筆だ。完成間近、男がそれを奪いに来る。なんのために? ライバル会社から頼まれて? 男は直近の国家試験にどうしても合格したいので、完成を待たず奪いに来たと言うのである。しかし「博士」は男に、それはどういうものか知っているのかと訊ねてみる。男は「回答すれば、全て正解になる」鉛筆だと答える。だが違うのだ。実は……可愛いオチですね。


 河音直歩さんの「マッハの試験」、主人公の「マッハ」は試験の初日を迎えた。それは「多様性幸福支援制度」、すなわち「人間をやめて動物になることができるという試験」で、今回の細胞改造先は「鳩」。人間をやめたい者はそこに応募するのである。実は叔父もすでに犬になっている。「試験」といっても、ただ日常生活をおくるだけ。試験官はどこかにひそんでいる。その存在を気にしながら、「マッハ」は日々をおくる。なんだかいつもの日常よりしんみりしている。それから数日後、「マッハ」は……いい話だが、オチに意外性がなかったかも。


 黒坂舟佑さんの「試験n」で、主人公の「琴子」は「その試験」を受けることになる。どんな「試験」なのか。とにかく、合格すると「安定した収入」が得られ、「生涯安泰に過ご」せる試験なのだ。まずは第一次試験。あらゆる人びとが試験会場にいる。「琴子」は合格。「二次試験」に進む。そこも合格。さらに「三次試験」も合格。「二十六次試験」の時には、「琴子」は大学四年生、「周りの友人達は無事内定を取れた」。「琴子」はさらに……この先、いったいどうなるのか。確かに怖い話だが、ふつうその前に止めちゃうのでは?


 齊藤想さんの「エクソシストVS悪妻」は「ある晩、泥酔した夫が見知らぬ黒服の男を連れてきた」で始まる。その男は「エクソシスト」らしい。主人公の「香澄」が困惑していると、夫は、優しかった妻が意地悪になっているのは「悪魔の仕業」にちがいない、だから悪魔を追い出すためにエクソシストを呼んだというのだ。当然ながら「香澄」は激怒する。しかし夫はこれは妻が悪魔にとりつかれたかどうかの「試験」だと主張するのである。そして、その結果は……ちょっと感動的なラスト。でもこのお話、「試験」なのかな?

応募要項
課 題

■第49回 [ 練習 ]

 なにかを身につけるためには、ただひたすら「練習」あるのみ。ピアニストはピアノを、画家は絵筆を持って、野球選手はバッティングケージに入って「練習」します。みなさんは何か「練習」してますか?

■第50回 [ まちがい ]

 記念すべき50回目の課題は「まちがい」。どんな場所、どんな時でも、「まちがい」はあります。人生、「まちがい」だらけといっても過言ではありません。とりあえず送り先は「まちがえ」ないでください!

※お知らせ&ご注意 第48回から郵送応募がなくなり、WEB限定とさせていただいています。郵送で応募されている皆様には申しわけありませんが、ご理解、ご了承のほど何卒お願い申し上げます。
締 切

■第49回 [ 練習 ] 
8/1~8/31(23:59)
■第50回 [ まちがい ] 
9/1~9/30(23:59)

応募規定

2000字程度。縦書き。
(テキストデータは横書きでかまいません)
書式は自由ですが、A4判40字×30行を推奨します。

応募方法

WEB応募に限ります。
応募専用ページにアクセスし、原稿のファイルを添付。
(ファイル名は「第○回_作品名_作者名」とし、ファイル名に左記以外の記号類は使用不可)
作品の1行目にタイトル、2行目に氏名(ペンネームを使うときはペンネーム)、3行目を空けて4行目から本文をお書きください。
本文以外の字数は規定枚数(字数)にカウントしません。


Wordで書かれる方は、40字×30行を推奨します。
ご自分で設定してもかまいませんが、こちらからもフォーマットがダウンロードできます。

応募条件

作品は未発表オリジナル作品に限ります。
入賞作品の著作権は公募ガイド社に帰属します。
AIを使用して書いた作品はご遠慮ください。
入選作品は趣旨を変えない範囲で加筆修正することがあります。
応募者には公募ガイド社から公募やイベントに関する情報をお知らせすることがあります。

発 表

第49回 2025/11/1、Koubo上
第50回 2025/12/1、Koubo上

最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載
※最優秀賞が複数あった場合は按分とします。
※発表月の翌月初旬頃に記念品を発送いたします。
配送の遅れ等により時期が前後する場合がございます。

お問い合わせ先

ten@koubo.co.jp


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受講料 5,500円
https://school.koubo.co.jp/news/information/entry-8069/