せきしろの自由律俳句 第101回「ひとり」結果発表


結果発表
第101回 課題: ひとり
せきしろの一句
木漏れ日の中さぼった子光っている
最優秀賞
昨日の蝿も去り冷蔵庫の音だけ
( 愛知県 くり 52歳)
蝿しかいない孤独から、蝿さえもいない孤独へ。蝿がプラス要素になるくらいのひとり。私にできるのは冷蔵庫が壊れないことを祈ることくらいである。
優秀賞
たくさんのひとりを寄せ集めて駅
( 愛知県 あさを 41歳)
大きめの駅というのは賑やかなイメージがあるが、たしかに考えれば個々の集まりである。知らない人、知らない国の人、もう会うことがない人、すれ違うだけの人……。意識したことのない視点をくれた句。
壁をみてつつく冷奴の角
( 東京都 小麻実 36歳)
この句もまた「ひとり」を感じさせてくれる句だ。「冷奴」で終わらせるのではなく「冷奴の角」であるのが良い。ミクロの視点がよりひとりを感じさせてくれる。
イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト