せきしろの自由律俳句 第103回「電気」結果発表


結果発表
第103回 課題: 電気
せきしろの一句
暗いまま雨の午後に浸る
最優秀賞
電線を這う雪が白蛇になって落ちる
( 茨城県 しばみち 51歳)
冬。雪が降って器用に電線の上に積もる。やがて白蛇のような細長い雪が落ちていく。静かで美しい一瞬である。
優秀賞
電気はついていると父は店の前まで
( 和歌山県 中村マコト 52歳)
たとえもう店が閉まる時間であっても、もうほぼ閉まっていても、まだ大丈夫かもしれないと諦めない。それが親である。
家中の明かりを点ける静かに賑わう
( 神奈川県 廣瀬順子 80歳)
家に帰り、電気を点ける。明るくなると同時に現れる生活の数々。さらに点けるとさらに現れる。「静かに賑わう」という表現がピッタリだ。
イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト