せきしろの自由律俳句 第102回「タオル」結果発表


結果発表
第102回 課題: タオル
せきしろの一句
色褪せたキャラクタータオルの上に老犬
最優秀賞
首に巻いた橙色の夏
( 福岡県 はしもり 30歳)
夏の光はあらゆるものをはっきりとさせる。仕事中か、何かのライブか。それとも運動中か。どれかはわからないが、はっきりと橙色が鮮やかに見えてくる。ずっと見ていたい句である。
優秀賞
浴室の前で広げて待ち構える
( 神奈川県 廣瀬順子 80歳)
風呂をあがった子どもが元気に飛び出してくる。タオルを広げてそれを待っている。そんな微笑ましい光景が浮かび上がる。子どもがすり抜けていくかもしれないく、それを追いかけている姿もまた微笑ましい。
祖父の背を洗うように墓を拭く
( 福岡県 雨 35歳)
「墓を拭く」という言葉は硬質で強い。それだけで短律の自由律俳句になりそうだ。そこに「祖父の背を洗うように」という表現。何度も読んではそのたび感嘆する。
イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト