せきしろの自由律俳句 第104回「祭」結果発表


結果発表
第104回 課題: 祭
せきしろの一句
トーマスのお面まっすぐ前を見ている
最優秀賞
遠い祭囃子聞きながら雨戸を閉める
( 神奈川県 廣瀬順子 81歳)
祭りとの関わり方はふたつあって、ひとつは参加すること、もうひとつは音を聞くことである。雨戸を閉めた瞬間音は途切れ、祭りは終わり、人々は次の季節の準備を始める。音が消えた瞬間が鮮明に伝わってくる句だ。
優秀賞
露店に並ぶ子の百円玉が温かい
( 千葉県 山和ウラ 46歳)
露店の列に並ぶ子ども。焼きそばか、はたまたチョコバナナかわからぬが、お目当てのものを買うためにじっと待つ。手のひらの中には硬貨。落とさぬようしっかりと握っている。かつて自分にもあったその温もりを思い出す句。
ヨーヨーしぼんで夏が終わる
( 大阪府 石川聡 44歳)
夏の終わりはいつも突然で、それはちょっとしたことである。昨日まで新しく見えていたビーチサンダルが古く見えた時は秋になっている時もあれば、ドアを開けた瞬間空気が秋になっている時もある。また次の夏を待とう。
イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト