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せきしろの自由律俳句 第104回「祭」結果発表 (2/3)

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結果発表

 

結果発表

第 104回 課題: 祭

 

 

佳作

すれ違う浴衣祭りが遠い
 (千葉県 ような恵 27歳)

綿菓子とすれ違ってお祭りを知る
 (東京都 水面叩 34歳)

埃かぶった熊手ある店で今日も飲む
 (神奈川県 紺屋小町 46歳)

串と濡れた小銭を受け取る
 (京都府 Isohama 49歳)

割れた水風船に誰かの祭りの記憶
 (東京都 汐海 岬 53歳)

今夜すれ違うためだけのメイク
 (京都府 かたつむり 18歳)

祭通りの一本外れに佇む手と汗ばむ手
 (埼玉県 こせきり 19歳)

祭りの入り口に今から入る
 (茨城県 りんご月 19歳)

中学の同級生が神輿を担いでいる
 (福島県 きりんのき 23歳)

子ども指さす走ってく
 (神奈川県 木暮俊貴 26歳)

提灯の明かり1つのみ揺らめいた夜
 (青森県 タマゴタケ 15歳)

ポスターの日付は既に過去
 (東京都 みずら 16歳)

はじめてすくった命を大事そうに
 (東京都 めめめい 18歳)

祭囃子蝉が踏まれて平ら
 (埼玉県 東沖和季 22歳)

泳ぐ赤い命ふたつ掲げる子
 (神奈川県 明朝 24歳)

焼きそばを両手にだれかの恋人
 (大阪府 反時計 25歳)

祭りの近くのコンビニのざわめき
 (兵庫県 田中 佳 41歳)

夏を担ぐ擦り切れた肩
 (北海道 川原 42歳)

方言の飛び交う屋台に敬語で注文する
 (岡山県 山下 絵美 44歳)

祭りの匂い残る夏の雲ひとつ
 (神奈川県 Akiki 59歳)

 

今月の総評

すれ違う浴衣祭りが遠い
都会で見る浴衣は近くの祭りとは限らない。「お祭りやっているんだ」と思って調べると結構遠いところだったということがよくある。

綿菓子とすれ違ってお祭りを知る
露店の綿菓子は子どもにとって夢が詰まっていた。中身は同じはずなのに袋のキャラクターで感じる味が変わったものだ。

埃かぶった熊手ある店で今日も飲む
居酒屋の、煙と油と歴史で変色した壁にありそうだ。

串と濡れた小銭を受け取る
昔、露店で大きなお札を出して怒られた記憶がふと蘇った。

割れた水風船に誰かの祭りの記憶
忘れられたビニールの巨大なトンカチにも誰かの記憶がある。

今夜すれ違うためだけのメイク
一瞬のために。でも一瞬ではないかもしれない。何かが始まる可能性もある。

祭通りの一本外れに佇む手と汗ばむ手
「手」と「汗ばむ手」の対比が良い。「祭通り」を「祭り」と縮めるとよりリズムが良くなる。

祭りの入り口に今から入る
好きな瞬間。臨場感が良い。逆に祭りの会場から出た瞬間、日常になる感じも好きである。

中学の同級生が神輿を担いでいる
中学生の視点でも、大人になっての視点でも、どちらでも楽しめる句である。

子ども指さす走ってく
走り出す瞬間。その先には屋台があるのか、それとも友達がいるのか。

 

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