ラノベ作家と見る│2025年でWeb小説・ライトノベル界隈で話題になった4つのトピック どうなる? 生成AIの取り扱いについて


トピック② 生成AIに対する声明が続々と
二つ目のトピックは、チャッピーことChat GPTをはじめとした生成AIについてです。AIに関しては、特にここ半年で大きな動きがあったように思います。
生成AIを使用した作品が物議をかもす
2025年10月頃、小説投稿サイト『アルファポリス』で開かれていたコンテスト『Webコンテンツ大賞』にて、AIで生成された作品が『奨励賞』を獲得。それを受け、「アルファポリスはAIを容認するのか」とSNSで炎上騒ぎになりました。
なお、実際のところは、奨励賞とは「最終選考に残ったものの、惜しくも各賞の受賞には至らなかった作品」に自動的に贈られるものであって、編集部が自ら選定して贈ったというわけではありません。そのため、この炎上はユーザーの勘違いによるものでしたが、それだけ「賞」という言葉には重みや価値があるのでしょう。
また、同時期、『カクヨム』では生成AIで書かれた小説が大量に投稿されるという事態が発生。これには作家からの批判が続出しました。それにはさまざまな意見がありましたが、最も多く見られたのは、新着欄などがAI作品で埋め尽くされることで、その他の作品の露出の機会が減ってしまうという声でした。
小説投稿サイトで相次ぐ規制
上記を受けてか、アルファポリスは2025年11月18日、「作品の大部分を生成AIツールで作ったものはコンテストへの参加を禁止する」としました。また、一定ポイントを獲得した時に行える『出版申請』も同様です。両方とも、後からAI生成作品であることが判明した場合は出版を取りやめるとのことで、AIだけで作った作品ははっきり「NO」と表明しています。
出典:アルファポリス
一方で、校正やプロットの検討など、制作の補助に使う程度であればむしろ推奨しており、実際に『小説AI校正』なるサービスを提供しています。
カクヨムでは、2025年11月13日に「通常の創作活動では考えられないような膨大な量を短期間で投稿する行為」を控えるよう注意喚起を実施。
出典:カクヨム
その後、運営が削除したのか、自主的に退会したかは不明ですが、大量投稿していた作者のうち数名のアカウントが削除されています。
また、11月19日には、生成AIを利用している場合は使用状況に応じてタグをつけるよう、協力を要請。なお、こちらは義務ではありませんが、2025年12月1日から開催されている『カクヨムコンテスト11』の応募作品に関しては必ずタグ付けするようにとのことです。
出典:カクヨム
ラノベの新人賞でもAIについて言及するところがでてきた
生成AIの使用に対する規制は、レーベルが主催する新人賞でも見られます。
『GA文庫大賞』では、「生成AIの利用は文章や表現の校正もしくはネタだしレベルでの使用のみに限る」としています。また、使用した場合は応募時にどのように用いたかを記載しなければならないとのことで、慎重になっていることが窺えますね。
他新人賞では生成AIの取り扱いについてまだ言及されていませんが、小説投稿サイトが動きを見せている以上、各新人賞も近いうちに意向を発表するのではないかと思われます。
とりあえずルールは守ろう
AIの進化は目まぐるしく、今後どうなっていくか、素人の私にはわかりません。AIに対する考え方も人それぞれで、「便利だから使いたい」という人もいれば、「AIは使うべきでない」という人もいて、誰しもが納得する答えは今のところないでしょう。なので、ここではAIの是非については触れません。
ただ一つ言いたいのは、各サイトの規定はしっかり守りましょうということ。「案出しにAIを使ったけどバレないだろうからタグつけなくていいや」なんて思う人も少なからずいるかと思いますが、皆が皆そうしてしまうと、より複雑化してより面倒なことになってしまいます。それに嘘が明らかになれば出版取りやめなどの可能性もあり、結果的に損をするのは自分なので。