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あなたとよむ短歌 テーマ詠「恋」結果発表 ~大切にするって何だろう~

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結果発表

テーマ詠で短歌を募集し、歌人・柴田葵さんと一緒に短歌をよむ(詠む・読む)連載。

柴田 葵 1982年、神奈川県生まれ。元銀行員、現在はライター。「NHK短歌」や雑誌ダ・ヴィンチ「短歌ください」、短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」への投稿を経て、育児クラスタ短歌サークル「いくらたん」、詩・俳句・短歌同人「Qai(クヮイ)」に参加。第6回現代短歌社賞候補。第2回石井僚一短歌賞次席「ぺらぺらなおでん」。第1回笹井宏之賞大賞「母の愛、僕のラブ」。
■作品
プリキュアになるならわたしはキュアおでん 熱いハートのキュアおでんだよ
(『母の愛、僕のラブ』より)
vol.71
テーマ詠「恋」結果発表
~大切にするって何だろう~

短歌を読む・詠む連載、「あなたとよむ短歌」。今回はテーマ詠「恋」の結果発表です。

相聞歌というジャンルがあるように、短歌の題材としてはかなりポピュラーなものです。けれども、改めて「さあ、恋の短歌を詠もう!」とすると難しいかも、と思いました。

小説やマンガ、映画、歌、さまざまなジャンルで恋愛ものは人気です。エンタメや表現の世界で語り尽くされている側面もあるからこそ、ある種の型や先入観が広く定着してしまっているのかもしれません。

人と人との関係性は千差万別であるはずです。「恋」をテーマに詠もうとしたとき、世の中にある「恋」を詠もうとせずに、自分の中にある「恋」(恋というものへの嫌悪感や違和感でもかまいません)を探るのがいいのかもしれません。外に探しにいくのではなく、内側を探っていきましょう。

ちなみに、私は笹井宏之賞を受賞するより前の2016年、「第19回万葉の里あなたを想う恋のうた」という公募で優秀賞をいただきました。

店先のナポリタンから浮くフォーク
愛ある嘘は信じましょうか
(柴田葵)

賞金で、子どもの入学式用のスーツを購入しました。10年経ってさすがにもう着る機会がないのですが、良い思い出なのでクローゼットの奥に保管してあります。

後半では投稿者の皆さんから寄せられた質問にお返事しています。作品と合わせて、ぜひ最後までお付きあいください。

それでは、最優秀賞の発表です!


あなたとはペンネをふざけ合いながら
ほぐす未来を用意しました
(淡島けのびさん)

とてもかわいいですね。大皿に盛られたペンネを笑いながらほぐして取り分けて、ふたりで食べる未来。なんて幸せなんでしょうか。

一方で、あなたに用意できそうな未来は、今はまだ「ペンネを楽しく食べる」という段階なのでしょう。家庭を持つ、一緒に暮らす、そんな法的に約束された(あるいは縛られた)未来ではなく、軽やかで明るい、ちょっとした約束のような未来「用意しました」という少し自分勝手な宣言の仕方も含めて、まさに「恋」だなあと思います。


続いて、優秀賞2首です。

ゲーミングわたしになって放課後の
ビックカメラで君を待ってる
(村川愉季さん)

ゲーミングPCとは、グラフィックの細かいゲームをプレイするための専用パソコンです。外見もこだわって制作する人が多く、カラフルな電飾を内蔵することも多いようです。転じて、夜に散歩する際に、暗闇でも目立つようにカラフルに光る首輪をつけられた「ゲーミング犬」がSNSなどで話題になりました。

さて、村上さんの短歌では「ゲーミングわたし」が登場します。もちろん体に電飾をつけているわけではないでしょう。でも、自分の中からあらゆる色が発光するような気持ちになって「君を待ってる」のが伝わってきます。君に早く会いたい、君に早く見つけてほしい。

インパクトのある語が並びつつも、細やかにあざやかに気持ちが伝わってくる一首です。


失恋がおいしい話になるまでは
漬物石はまだ外せない
(宮本七海さん)

テーマ「恋」ならば、もちろん「失恋」も対象になります。思わず「うまいことを言うなあ」と感心してしまう一首です。

冗談のように「上手いこと」を言うことで笑わせてくる構成ではありますが、一方で冗談としてやりすごさずにはいられない、心の痛みも感じます。

漬物石という重い物でしっかり蓋をしている状況。いま取り出してしまうと、まったく「おいしくない話」になってしまう。つまり、まだまだ苦く、飲み込めない感情なのでしょう。いつかおいしい漬物になるといいですね。



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