あなたとよむ短歌 テーマ詠「恋」佳作・入選 結果発表


それでは、佳作5首のご紹介です!
ノルマのない夢を見ようよ幸せも指輪も孫もなしの夢だよ
(畑依裕さん)
結婚、家庭、指輪、子ども、孫。人生のノルマといえばそうなのかもしれません(達成する必要もないものですが)。そういうことを考えないで見る夢、それが恋なのかも。
くびすじに印をつけるまた君が鳥になっても射られぬように
(佐野夜さん)
「また君が」というからには「君」はもう何度も鳥になり、気ままに作中主体の元から去っているのかもれしません。誰か別の人間に心を射られぬように首筋へ印をつける。情念を描いた一首。
セザンヌのりんごのように間違ってあなたを下の名前で呼んだ
(殿内佳丸さん)
りんごの絵を多く残したセザンヌ。ころころと転がりだすように見える不思議な構図が印象的です。勝手に転がりだす恋心のようですね。「恋」というテーマでセザンヌのりんごが出てきた、その発想がすごい。
前髪の境界線に護られて光を溢すひとを見ていた
(坂本真衣子さん)
見事な比喩です。水を弾き、肌馴染みも悪く、折りぐせが付いていてタオル掛けにも真っ直ぐかからないタオルを思春期に準えたもの。タオルにもよりますが、ここまでカタい時期はいっときなはず。
めぐる血のように来世でまた会おうそこに恋など生まれなくても
(ながしまけんたさん)
心臓から全身に送られた血液は、やがてまた心臓で落ちあいます。恋でなくても、どんな関係性でもいい。来世でも会いたい。そんな熱い感情が、血や肉体というイメージで見事に表現された一首です。
つづいて、入選10首のご紹介です!
背中からぎゅっと抱きしめたい人がいる代役を欅に頼む
(貴田雄介さん)
鮮やかな恋の隙間に乙女らは麻辣湯のミニトマト食む
(坂本真衣子さん)
人間のことならぜんぶ教えるよ君が火星のスパイだったら
(村川愉季さん)
嫌いだと言われた日からあなたとは一層趣味が合う気がしてる
(はちやめいさん)
岩国の山田りえさん見てますか今は苗字が変わってますか
(中井泰之さん)
友達の枠でもいいよこんなにもあなたに会えて幸せなんだ
(宮本七海さん)
じいちゃんの最後の恋を知っている最初のやつは知らなくてもいい
(久方リンネさん)
誰からも好かれている子ああせめてダメな恋愛していてほしい
(留さん)
完全な旋律よりもいとおしく僕だけが知る85点
(かみづきさん)
魂と五臓六腑もあげるから君の涙を一粒ちょうだい
(芹川透さん)