公募Q&A「応募」 他人の著作物が写り込んでしまった写真は応募できる?
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写真の中に偶然、他人の著作物が写り込んでしまったら、自分の作品として応募することはできませんか。
軽微な写り込みなら著作権侵害にはあたりませんが、応募作品として問題ないかどうかはそれぞれの公募によります。
他人の著作物が写り込んでも、偶然かつ軽微なら問題ない
〈写真を撮影したところ、本来意図した撮影対象だけでなく、背景に小さくポスターや絵画が写り込んでしまった〉
この場合、この写真を公表や複製をしたら、著作権侵害になるのでしょうか。
以下の二点をクリアしていれば、著作権侵害にはあたりません。
1. 他の著作物と「分離することが困難」であること
たとえば、街並みを撮ったら、その中にキャラクターTシャツを着た人がいたという場合。そういう人はいくらでもいますので、偶然、意図せずに写り込むことは避けられないことと言えます。これが「分離することが困難」の意味です。
ただし、他の著作物を除いて創作することが、社会通念上困難であると客観的に認められる場合に限ります。たまたま写り込んだとは思えないような場合はだめです。
ちなみに、撮影後、トリミングや加工によって取り除くことができる場合でも、偶然、写り込んでしまったのであれば、そのままでかまいません。
2. 創作した作品の中の「軽微な構成部分」であること
「軽微な構成部分」とは、本来の撮影対象がメインになっていて、他の著作物(キャラクターやロゴなど)はほんの一部分であるということ。
背景に本棚があり、そこに雑誌のロゴが写り込んでいたり、撮影対象がキャラクターグッズを持っていたりという場合がこれにあたります。
ただし、「軽微」であるかどうかについて、定量的な割合が決まっているわけではありません。個別の事案に応じて判断されるものです。
以上、文化庁ホームページの〈いわゆる「写り込み」等に係る規定の整備について〉を参考にまとめました。詳細は下記を参照ください。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/utsurikomi.html
「写り込み」が選考、入選の対象になるかは個別事案
他の著作物が写り込んだ写真では、応募は可能でしょうか。
現在、募集中のフォトコンテストの応募要項を無作為に選んで調べてみたところ、「他の著作物の写り込み」については、「何も書かれていない」「応募できない」「応募してもいいが、問題があったら自己責任とする」の三つに分かれました。
〇応募できないケース
〈被写体に看板・ネオンサイン・ブランドロゴ等が含まれる場合や公序良俗に反すると判断される作品のご応募はご遠慮ください。〉
(東京カメラ部10選U22フォトコンテスト2022)
「ご遠慮ください」ですから、応募は不可と判断されます。
〇問題があったら自己責任というケース
〈第三者の著作権・肖像権など法令上の権利や、第三者のプライバシー等を侵害していない写真に限ります。(中略)著作権侵害や肖像権侵害など法律上の問題が発生した場合は、応募者にて対処願います。〉
(貨物時刻表掲載写真募集)
写り込みがあっても「たまたま」で「一部分」であれば、著作権侵害にはなりません。
ですので、このケースでは応募が可能となります。
ただし、応募者は問題ないと思っても、実は問題があったとなった場合、自己責任となることを承知のうえで応募してくださいということです。
と、無作為に応募要項を調べてみましたが、最終的には個別に判断されると思われます。
「介護写真を撮ったら、お年寄りがブランドのロゴが入ったジャージを着ていた」というケースなら、それが問題になるとは思えませんが、「ブランドを宣伝するために、故意にお年寄りに着させたな」という意図が見えたら、やはり無効にされるでしょう。
また、故意でもなく悪意もなく、軽微な構成部分だが、キャラクターやロゴの部分がメインの被写体より目につくというのであれば、「あとで問題となったら面倒だから入選作品からは外しておこう」となるかもしれません。
最終的には各公募の担当者や選考委員が判断し、その結果は公募の規模や趣旨によっても違ってきます。
応募前に「あれ、これは大丈夫か」と思ったら、主催者に問い合わせてみてください。