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耳で味わう! 古典の日朗読コンテスト

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作文・エッセイ
公募ニュース

2018年は明治元年から満150年の記念の年です。古典に親しむ機会づくりを進める古典の日推進委員会では「明治150年」を記念して、明治文学の朗読作品を募集しています。対象となるのは4作品の指定箇所で、森 鴎外の『舞姫』、樋口 一葉の『にごりえ』、福沢 諭吉の『福翁自伝』、夏目 漱石の『坊ちゃん』。録音媒体による一次・二次審査の後、京都で最終審査が行われます。

どのようにすれば味わい深い古典の朗読ができるのでしょうか? 『にごりえ』の朗読に挑戦してみました!

 

はかない女の運命

『にごりえ』は酌婦である「お力」が自分のために落ちぶれて妻子まで捨てた「源七」の手にかかり亡くなるという、はかない女の運命が描かれた物語。指定箇所は冒頭の部分で、店のにぎわいが描写されています。

 

意味を理解しよう!

古典の朗読で難しく感じるのが古語。現代では使われなくなった言葉や意味の異なるものなどがあります。できるだけ単語一つ一つの意味まで正しく理解しておくと読みやすくなるそうです。『にごりえ』では「朋輩」「新わら」などがありました。「朋輩」は同輩・仲間のこと。「新わら」は花柳界や下町好みの髪飾りを指します。調べると、人物の関係性や物語の舞台イメージがわいてきますね!

 

現代語訳で朗読!

「さて読むぞ」といきたいところですが、原文を読む前に現代語訳での朗読を完成させます。訳すことで内容が分かり人に伝わる朗読ができるのだそう。直訳ではなく自分なりに訳しても大丈夫。自分の言葉で訳したら親しみがわいてきました。

 

【原文】

おい木村さん信さん寄つてお出よ、お寄りといつたら寄つても宜いではないか、又素通りで二葉やへ行く気だらう、押かけて行つて引ずつて来るからさう思ひな、・・・

 

【現代語訳】

「ねぇ、木村さん信さん寄ってってよ、寄ってと言ってるんだから寄ってもいいじゃない! また素通りして二葉屋へ行く気でしょ? 追いかけて行って引きずって来るから! そう思いなさいよ!・・・」

 

リズムよく繰り返す!

いよいよ原文で練習です。リズムよく読めるまで何度も声に出して読むことが大切なようです。『にごりえ』は句点が少なく読点が続くため、現代の感覚で普通に読むとだらだらした印象に。リズムをつけると登場人物が生き生きとしてきて、読んでいる自分も楽しい気分になりました!

 

朗読をしてみると黙読だけでは伝わらない、登場人物の息遣いや町の空気を感じることができ、タイムスリップした気分になりました。みなさんも古典を耳や心で味わってみてはいかがでしょうか?

(著者:香山衣美)

 

 

公募情報の詳細はこちら:

https://www.koubo.co.jp/contest/nonsection/other/042985.html

(2018年8月21日)

 

参考資料:

楽しくなる朗読術 http://pswork-sato.sakura.ne.jp/category/朗読/

樋口一葉『にごりえ・たけくらべ』新潮社 平成17年

稲賀敬二 他『新訂総合国語便覧』第一学習社 2017年

大野晋 他『岩波古語辞典』岩波書店 1977年