地域活性化の鍵となる!「いしかわ百万石文化祭2023」から見る日本の文化芸術
近年文化芸術を観光振興や地域活性化に対して活用し、地域振興をはかる動きが大きくなってきている。3年に一度行う国際美術展覧会である「瀬戸内芸術祭」、「あいちトリエンナーレ」、「大地の芸術祭」などは各地から人が多く集まる有名なアートの祭典である。また、国宝展に人が殺到したりなど人々の文化芸術への関心が高まっていることはニュースなどから見て取れるだろう。今回は、文化芸術と日本の関わりを「いしかわ百万石文化祭2023」から見ていきたい。
大人になっても参加できる文化祭
子どものころ、学校の文化祭の時期になるとなんだかソワソワ、わくわくした気持ちにならなかっただろうか? 友だちとクラスの出し物の準備をしたり、部活動の展示作品を制作したり。美術部や吹奏楽部などの部活動に所属している人以外でも、気軽に文化芸術に触れることができる機会、それが文化祭だったのではないか。
大人になってから1つのことに国中、世界中で熱狂できるものと言えば「オリンピック」がある。だが、文学や芸術をみんなで楽しむという機会はそうそうなく、パッと思いつくものもないだろう。「文化芸術は個々人でつくり、楽しむもの」という認知がどうしてもあるに違いない。
この認知を払拭し、「伝統芸能や文学、音楽、美術などの各種芸術、食文化などの生活文化等の活動を全国規模で発表、共演、交流する場を提供するとともに、文化により生み出される様々な価値を文化の継承、発展及び創造に活用し、一層の芸術文化の振興に寄与する」イベントがある。それが今回紹介する「国民文化祭」である。
国民文化祭とは、毎年日本中でいろいろな文化活動に親しんでいる個人や団体が集まって、日ごろの成果や実力を披露するため、全国各地から多くの「文化」や「人」が集まる「国内最大の文化祭典」だ。
文化芸術に普段からあまり親しみのない人でも気軽に参加し、「文化」を再発見できる催しとなっている。
(出典:文化庁「国民文化祭」より抜粋)
日本を文化芸術後進国にしないために
「文学や芸術をみんなで楽しむという機会はそうそうない」と前述したが、日本は「アート」後進国である、ということは世界的に見ても言及されている問題である。
下記は文化に対してどのぐらいの規模の公的な支出を行っているかを示したグラフだ。
2010 年を100%とした場合の各国の文化支出推移(2010 -2019 年)
国家予算に占める文化支出比率の推移(2010 -2019 年)
出典:令和2年度文化庁委託事業「諸外国の政策等に関する比較調査研究」(文化庁)(https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/pdf/93659801_01.pdf)を加工して作成
諸外国と比べ日本は非常に低い水準で推移していることが見て取れる。
ドイツ、英国も数字が大きくなっているが、早い段階から顕著に数字が伸びているのが韓国だ。
韓国は今や音楽やファッション、食などあらゆる文化で最先端を走っており、それに伴い経済状態も上向きである。
韓国は低迷した経済を復興させるため、映画や音楽、芸術などのコンテンツ産業を21世紀における国家の基幹産業の一つとして育成し、国家戦略として発展させていくための法制度や体制づくりを進めていたのである。現状の「韓国ブーム」を見れば、文化芸術を先に発展させることで産業があとからついてきた成功例と言っても過言ではない。
日本にも素晴らしい文化芸術がたくさんあるにも関わらず、わたしたち日本人はその価値を本当に理解し楽しもうとしているだろうか。
国民の関心が寄せられれば、おのずと国の文化芸術への意識も高まってくる。
後世に残すべき、国外にもっと知られるべきである日本の文化資源を守り、広めていくためには文化芸術の鑑賞の機会の充実が必要不可欠だ。
石川から文化を紡ぎ、開花させる
2023年10月14日(土)~11月26日(日)の44日間開催されるいしかわ百万石文化祭2023。
期間中には石川ならではの文化資源を活用したイベントや文化団体による27の全国大会など、県内全市町で約150の多彩な文化イベントが開催される。
石川県での国民文化祭の開催は、平成4年以来2回目となり、全国障害者芸術・文化祭は初開催だそう。
子どもをはじめ、学生、若手芸術家などが、企画、発表、交流などさまざまな形で参加し、国内外の優れた文化芸術に触れる経験を通じて、技能を磨き、意欲や興味を高めることにより、文化の継承と発展、新たな文化を創造する次世代の担い手の育成につなげていきたいとのことである。
昨年行われたプレイベントでは、大会スペシャルアンバサダーの野村萬斎氏をはじめ、石川県ゆかりの著名人によるアンバサダーの方々も参加し多彩なステージが披露された。また、金沢の演奏や獅子舞の演舞のほか、石川ゆかりの文学作品の朗読・トークショーや利き酒会なども行われ「石川らしい」体験ができたとの声が寄せられたそう。
石川県といえば兼六園や二十一世紀美術館などが有名だが、地域文化を支えてきた地場産業の技術に光を当てたプログラムを実施することで、新たな価値を創造する意欲を高め、地場産業のさらなる発展と地域の活性化につなげていくことが期待される。
前回の平成4年秋の国民文化祭後には、石川県の文化振興施策の拠り所となる文化振興条例の制定、全国最大規模の文化振興基金の創設など、「文化立県・石川」に磨きをかける取り組みが進められたそう。今回の文化祭にも、石川県ならではの多彩な文化の魅力を感じることができるプログラムが多く予定されている。本ページに掲載したKoubo情報以外にも県内全域で広く作品を募集しているため、ぜひ下記ページをチェックしてほしい。
(いしかわ百万石文化祭2023出演・出場団体(者)、作品募集について)
日本の文化芸術産業にはさまざまな課題があるが、まずは国内にある素晴らしい資源をよく知るところからはじめる必要があるのではないだろうか。
ご存知の通り、今石川県は地震により甚大な被害を受けている。
文化アート振興の追い風となる大会にするためにも、そして復興のためにも、ぜひ現地に足を運び石川ならではの多彩な文化の魅力を、そして文化芸術のすばらしさを感じてほしい。
公募ガイド編集部スタッフ。文章を書くのが苦手で絵を描いていたはずなのに、なぜか編集者をやっています。
出典: https://ishikawa-bunkasai2023.jp/
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