ネットの海で物語る【第2回】小説初心者こそ、公募に挑戦すべき!
小説初心者こそ、公募に
挑戦すべき!
小説を書くきっかけ
ふとしたきっかけで、人生は変わります。
このエッセイのタイトルにある通り、私は介護福祉士で、訪問介護事業所の管理者をしていました。腰椎椎間板ヘルニアを発症するまでは。
腰椎椎間板ヘルニアは、腰の骨にある椎間板、その内部にある髄核が飛び出し神経を圧迫してしまう病気です。私は突然の激痛と共に足がしびれ、一時的に歩行さえ困難になりました。ヘルニアにも症状の差はありますが、私は長期的な治療とリハビリが必要になり、辞職することになりました。
自分で言うのもなんですが、それまで介護に人生を捧げるつもりで勉強をし、努力してきました。だからこそ、仕事を辞めたことは私のメンタルを想像以上に削りました。このまま腰の状態が戻らなかったら……と、何度も繰り返し、自分の体調管理の甘さを責めました。
そんなある日、病院の帰りに本屋に行ったんです。少しでも気が紛れるものが欲しくて。今でも覚えているのですが、その本屋で1冊の本の帯文に心を掴まれてしまいました。
「あの子、大量のドーナツに囲まれて死んでいたらしいよ」
湊かなえさんの『カケラ』(集英社刊)でした。
美容整形をテーマにした心理ミステリものです。
正直に話すと、私は小説を読む習慣がありませんでした。なので、手に取って『カケラ』が小説と知り、一度棚に戻したくらいです。だけど、どうしても「なぜドーナツに囲まれて死んだのか」が気になってしまいました。小説ってけっこう高いな、こっちは無職なのに。なんて思いながらレジに向かいました。
高校生ぶりでしょうか。久しぶりに読んだ小説は本当に面白くて、夢中になって読み進めました。このときばかりは、腰の痛みも忘れてしまうくらいに集中していたと思います。
そして読み終わったあと、ふっと思い出したのです。
昔、作家になってみたいなぁ、なんて漠然とした夢を見たことを。
今は治療中で時間だけはある。
私はさっそく「小説 書き方」で検索をしてみました。
小説は自由すぎるから難しい
出てきた記事を流し読みしましたが、私が素人すぎて書いていることがいまいち理解できません。
「とりあえず書いてみたら何かわかるかも」と思いましたが、最初の1行すら浮かんできません。なにを書いたらいいのかわからないんです。
小説って、自由で、広大すぎる。
長いの? 短いの? テーマは? ジャンルは? 書き方は? 場所は? なにで書く?
目の前にたくさんの選択肢があって、選ぶことができません。どうしたらいいかわからないと考えているときに見つけたのが「公募」でした。
初心者こそ、公募に挑戦すべき
公募は小説を書き慣れた人が挑戦するイメージがありました。今思えば初心者こそ、公募に挑戦した方が小説を書きやすいはずなんです。
文字数やジャンル、テーマ、提出先などが具体的に決まっているからこそ書きやすい。すべての選択肢を与えられるより、限られたもののなかで創る方がとっつきやすくありませんか?
どうせ初心者なんですから、落ちたって当たり前。その精神でいれば、そんなに落選のダメージもありません。練習と思って挑戦しちゃいましょう。落選しても、作品を創った経験は確実に残ります。受賞したら儲け物です。どっちに転んでも自分にはプラスなんです。
初心者におすすめのコンテスト
「これから小説を書いてみたい」人が今これを読んでくれているのなら、おすすめの小説投稿サイトとコンテストがあります。
それは、小説投稿サイト「エブリスタ」と「超・妄想コンテスト」です。
エブリスタで定期的に開催されている「三行から参加できる 超・妄想コンテスト」は決められたお題に沿った8,000字以内の小説を募集するコンテストです。
100文字~8000字で初心者にも書きやすく、完結させやすい文字量になっています。毎回決められたお題があるので、そこから小説の内容を膨らませていくことができます。また、ジャンルも限定されていないため、自分が妄想した内容がカテゴリエラーになることもまずないでしょう。
大賞を受賞したら賞金3万円。
しかも受賞したら「5分シリーズ」という書籍に収録される可能性も生まれます。自分の書いた小説が書店に並ぶなんて、想像したらワクワクしませんか? 受賞枠も多いので、挑戦する意義は大いにあります。
手前味噌ですが、私自身も第167回妄想コンテスト「初めての〇〇」にて準大賞を受賞し、後に『5分後に奇跡のラスト』(河出書房新社刊)に作品が収録されました。
また、3ヶ月以内にエブリスタに会員登録した人が上位30作品に入っていた場合は、結果発表ページで「ピックアップルーキー」として紹介されます。小説を書き続けるにあたって、モチベーションはとても大切です。受賞をすることができなくても「読んでもらえた」「紹介してもらえた」経験は、あなたの創作活動を後押ししてくれます。 初心者のあなたは、今しか存在しません。だからこそ、今のうちにできる挑戦を積極的にしてみましょう。ぜひ一度、コンテストページを確認してみてくださいね。
エブリスタ
三行から参加できる 超・妄想コンテスト
■第201回「AI」
■第202弾「運命のふたり」
次回は、妄想コンテストについての分析をお届けします。
※次回は8/2(水)更新予定です。
■profile
蜂賀三月 (はちが みつき)
小説家。ショートショート、児童書、YA小説をメインに執筆活動を行う。著書に『絶対通報システム~いじめ復讐ゲームのはじまり~』(スターツ出版)、 短編小説収録『5分後に奇跡のラスト』(河出書房新社)など。小説情報メディア
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