公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

誰でも一生に一冊小説が書ける。⑥:公募ガイド流文学賞必勝ガイド エンタメ編

タグ
小説・シナリオ
小説
バックナンバー

エンターテイメント小説系

読物誌(小説誌)は、連載小説や読みきりの小説ばかり載っている雑誌。小説のジャンルはさまざまだが、エンターテインメント色が強い。タイトルに「新人賞」とある賞は新人限定。小学館文庫小説賞と松本清張賞はプロ・アマ不問で、再デビューを狙うプロも応募してくる。紹介した6賞はプロの登龍門。「オール」と「R-18」は短編の賞なので受賞作だけで単行本化とはいかないが、どちらの賞も有名作家を輩出している。

小説すばる新人賞:技術力より、瑞々しい感性や将来性を重視

[沿革・趣旨]
1988年よりスタート。受賞作は同誌で発表後、単行本として発行。技術力や完成度より、独自の視点や今までになかったストーリーを重視。同賞は、花村萬月、篠田節子、村山由佳、荻原浩ら実力派の作家をはじめ、『となりまち戦争』の三崎亜記や『桐島、部活やめるってよ』の朝井リョウなど、新しい時代性を感じさせる若い作家も輩出している。
[過去作品の傾向]

第28回(2015年)受賞作は、どんな些細な事でも必ず「復讐」する女子高生が、自分を切りつけた犯人を追ううちにある真相を知る『ラメルノエリキサ』(渡辺優著)。
第29回(2016年)受賞作は、中学生の頃夢を語り合った四人が、大人になって再会し夢と向き合う姿を描いた『星に願いを、そして手を。』(青羽悠著)。同作は16歳の現役高校生が受賞。雑誌の読者層が若いためか、応募の年齢層も若く、10代、20代の作家を多く輩出。

[DATA]

枚数:200枚~ 500枚
応募数:1,333編(第29回)
賞金:200万円
主催:集英社

http://syousetsu-subaru.shueisha.co.jp/sinjinsyo/

 

オール讀物新人賞:エンタメ短編賞の登龍門。直木賞作家を多く輩出

[沿革・趣旨]

1952年に創設、2008年よりオール讀物推理小説新人賞と一本化された。エンタメ系の短編小説を募集。受賞後は定期的に短編新作を発表できる機会が多い。受賞後、プロ対象の賞を受賞したり、文壇の中堅、重鎮になっている作家も多い。
宮部みゆき、石田衣良らの直木賞作家も輩出。歴史が古く応募数も多い激戦区だが、直木賞を目指したい人におすすめ。

[過去作品の傾向]

幅広く短編のエンタメ作品を募集していることから人気の高い賞。媒体の特徴として、読者層の年代が高いせいか、時代小説と恋愛小説が強い傾向がみられる。また、官能小説やミステリー、人情ものなども受賞している。短編の賞ゆえ受賞しただけでは単行本化はされないが、商業レベルの短編が5 ~ 6編そろえば本になる。以降、活躍し続ける作家が多く、映像化作品も多数。藤沢周平、山本一力、桜木紫乃、柚木麻子などの人気作家が誕生している。

[DATA]
枚数:50枚~ 100枚
応募数:1,933編(第96回)
賞金:50万円
主催:文藝春秋

https://www.bunshun.co.jp/mag/ooruyomimono/prize.html

 

小説現代長編新人賞:強力で将来性豊かな才能が求められる

[沿革・趣旨]

創設当初は中・短編小説を募集していたが、2006年より長編新人賞に改組され、現在は250枚から500枚の長編小説を募集している。受賞作は『小説現代』誌上で発表後、講談社から単行本として発行される。五木寛之、皆川博子、伊集院静、勝目梓、金城一紀など、その後の活躍も華々しい、数多くのベストセラー作家を誕生させている。

[過去作品の傾向]

第10回(2015年)受賞作は、記憶喪失のアル中男とストリッパーの共同生活を描いた『ヒモの穴』(坂上琴著)。第11回(2016年)受賞作は、算学者の夫の跡を継ぎ、寺子屋の師匠をしている主人公とそこで学ぶ女性たちの成長を描いた『お師匠さま、整いました!』(泉ゆたか著)。
世界観の面白さ、キャラクターの魅力性が際立った作品が多い。最終候補までの各審査員のコメントがしっかり公開されている。審査過程が見えやすい賞。


[DATA]
枚数:250枚~ 500枚
応募数:1,036編(第11回)
賞金:300万円
主催:講談社 小説現代

https://tree-novel.com/works/episode/18073db194fc4764efbf6370140a12f1.html

 

女による女のためのR-18文学賞:個性豊かな女性作家を輩出

[沿革・趣旨]
唯一、女性応募者限定の新人文学賞。当初は女性のためのエロティックな小説の発掘を目指していたが、第11回より「女性ならではの感性を生かした小説」と改めた。
06年に受賞した宮木あや子は『校閲ガール』がシリーズ化、ドラマ化。08年読者賞受賞の山内マリコはエッセイで人気を博し、09年受賞の窪美澄は『ふがいない僕は空を見た』で山本周五郎賞を受賞。個性豊かで注目度の高い女性作家を多く誕生させている。

[DATA]
枚数:30枚~ 50枚 
応募数:667編(第15回)
賞金:30万円 
主催:新潮社

https://www.shinchosha.co.jp/r18/

 

松本清張賞:良質で斬新な長編エンタメ小説を募集

[沿革・趣旨]
松本清張の業績を記念して、1994年からスタート。当初は「広義の推理小説又は、歴史・時代小説」を対象にしていたが、04 年以降は「ジャンルを問わぬ良質の長編エンターテインメント小説」を対象に。既成の枠組みにとらわれない、骨太で斬新な作品を求めている。枚数が多いため大掛かりトリックや世界観にも挑戦できる。受賞作は単行本として刊行。出身作家には、横山秀夫、葉室麟、青山文平、山口恵以子、額賀澪などがいる。

[DATA]
枚数:300枚~ 600枚
応募数:709編(第23回) 
賞金:500万円 

https://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/matsumoto/

 

※本記事は「公募ガイド2017年1月号」の記事を再掲載したものです。最新情報は各主催者HPをご確認ください。

特集の続きを読む