あなたとよむ短歌 vol.46 テーマ詠「あいさつ」結果発表 ~短歌の質問、回答します!~(1/3)
テーマ詠で短歌を募集し、歌人・柴田葵さんと一緒に短歌をよむ(詠む・読む)連載。
柴田 葵
1982年、神奈川県生まれ。元銀行員、現在はライター。「NHK短歌」や雑誌ダ・ヴィンチ「短歌ください」、短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」への投稿を経て、育児クラスタ短歌サークル「いくらたん」、詩・俳句・短歌同人「Qai(クヮイ)」に参加。第6回現代短歌社賞候補。第2回石井僚一短歌賞次席「ぺらぺらなおでん」。第1回笹井宏之賞大賞「母の愛、僕のラブ」。
■作品
プリキュアになるならわたしはキュアおでん熱いハートのキュアおでんだよ(『母の愛、僕のラブ』より)
vol.46
テーマ詠「あいさつ」結果発表
~短歌の質問、回答します!~
テーマ詠「あいさつ」結果発表
~短歌の質問、回答します!~
短歌を読む・詠む連載、「あなたとよむ短歌」。
今回はテーマ詠「あいさつ」の結果発表です。
あいさつをしたことがない人はいないのではないでしょうか。最近では仕事などもオンライン化され、メールやチャットの文面であいさつをする機会も増えてきました。
今回の応募作品でも「YouTuberが動画の最初するお決まりのあいさつ」などを詠んだものも。なじみ深いテーマほど、いろいろな角度からとらえてみたいものです。
今回は最後に、投稿者の皆さんからの質問に回答しました。ぜひ入賞作品とあわせてお読みください。
握手する世界の人を数えれば
結果はずっと偶数だろう
結果はずっと偶数だろう
ハッとさせられる一首。いま、この瞬間に握手をしている人を数えられたとしたら、たしかに常に偶数でしょう。
手を握り、握り返す握手は、相手がいてこそ成立するものだからです。淡々と事実を述べている、飾り気のない文体がかえって真実味を強くします。
続いて、優秀賞2首です。
挨拶が画びょうになって四方から
私を刺してくる里帰り
私を刺してくる里帰り
比喩表現には「~のような/みたいな」と表す「直喩」と、そう表さない「暗喩」の2種類があります。「挨拶が画びょうのように」と遠回りせず、「挨拶が画鋲になって」とストレートに表すことで、画びょうの鋭さ、なんらかの理由で里帰りした「私」に注目し、 噂話のタネにする人々の視線の痛さが浮きあがっています。
またねって言っていいのか分からない
友だち未満の梅雨入り前
友だち未満の梅雨入り前
「梅雨入り前」が秀逸です。5月中旬ごろでしょうか。4月から新しい学校に進学したり、クラス替えがあったりしたのかもしれません。
今日は一緒に帰ったとしても、明日も一緒とは限らない。明日も挨拶していいよって、相手が思っているかどうかわからない。これからより一層不安定な雨の季節がくるとしても、その先には暑い夏が待っているはずです。